おチビちゃん 最後の挑戦(& 俺の挑戦)-2

寝不足、というのは本当で。

どうしたら、おチビちゃんが俺が提示した条件をクリアすることができるか。

ここずっと、ベッドに入ってから俺なりに考えていたから。

・・・・俺が提示した条件のクリア方法を、俺が考えているこの状況って、一体なんなんだ?

とは、思うけど。


俺だって、もういい加減、待ちくたびれたっつーの!


あんな高飛車で態度でかくて口悪いくせに、ド天然だわ緊張しぃだわ小心だわ奥手だわ。

このまま何もしないで待ってたら、じーさんになるぞ、俺っ!

いや。

あのおチビちゃんの事だ。

じーさんとばーさんになってもまだ、待たされ続ける可能性も、ある。

それは、嫌だ。

絶対的に、イヤだ!

何が悲しくて、若者の特権、キラキラした青春時代を棒に振らなきゃならないんだっ!

・・・・棒に振る、というのは言い過ぎか。

今でもそれなりに楽しんではいるのだから。

いやいや、そうじゃない。

そうじゃないだろ、俺。


いい加減、俺は、大野 沙希と付き合いたいんだっ!


テスト前に図書館にテスト勉強に誘えば、フツーに机挟んで向かい側に座ろうとするし。

仕方がないから、何とか誘導して隣に座らせて、結構間近で一緒に教科書覗き込んでも、フツーに真面目に教科書読んでるし。

挙げ句。

『こんな、人目の多い図書館でベタベタするんじゃないわよ、高宮 漣。誰が見てるか分からないし、第一不謹慎よ。』

なぜか俺、説教されるし。

真面目かっ、チビすけ!


それじゃあ、と思ってカラオケに誘えば、

『こっ、個室で、二人っきり?!いいい行かないわよ、そんなとこっ!』

顔を真っ赤にして、全力で拒絶するし。

小学生かっ、チビすけ!

いや、今時小学生でも男とカラオケくらい行くだろ。

どんだけ奥手だよ・・・・。


天然。緊張。小心。奥手。

プラス。

おチビちゃんと俺の、身長差。

俺がおチビちゃんに条件をクリアさせるためには、この5つをどうにかする必要がある。

そこで考え付いたのが、この河川敷だ。

ここなら、のんびりできるから緊張も解れるだろうし。

周りにあまり人がいないから、人目もそれほど気にならないだろう。

ここで俺が寝転がっていれば、身長差はクリアできるし。

何より、一度はマクドナルドで寝込みを襲おうとしたヤツだ。

ここで寝ている俺を見れば、いくら天然でも奥手でも、この大チャンスに気付かないはずが無い。

(早く来い、大野 沙希。いい加減、俺のトラップに掛かってくれ。)

そう思いながら。

抗いきれない睡魔に負け、俺は軽く目を閉じた。

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