第34話 おもらし外来、その後

 さすがにこのままだと私生活に支障をきたしかねないので、泌尿器科に相談に行くことにした。


 医者「お薬だしておきますから、それで様子を見てください」


 それだけしか言われず、案外こんなものかなんて納得していた。


 未咲「すぐ終わったね」

 進「これからは僕の望んだタイミングでしてほしいな……」

 未咲「もちろんだよ♪」


 いまからでも早くないと思い、利尿剤をポチった。


 未咲「早く使うときこないかなー、どきどきっ」


 最悪のタイミングで使いたくなってしまうなんて、このときは考えもしなかった。


 ♦


 9:00出社。いつもどおり作業していたところ、上司に話しかけられた。


 上司「悪いけど、きょうどうしても仕上げてほしい資料があって……」


 これがとんでもない量だとわかり、わたしは考えてしまう。


 未咲「(これ、きょう中に全部仕上げようとすると夜までかかるよね……

     もしきょうこの前買った利尿剤使ったら、どうなるんだろう……)」


 ちょっとした冒険心で使ってみた。夜までもたそうと頑張ってみる。


 未咲「(けっこう我慢できてるかな……?)」


 処方された薬のおかげもあって、利尿剤を使ってもすぐしたいとは思わなかった。


 未咲「(よし、これなら夜までまったく行かなくても頑張れそう……)」


 ゆっくり湧き上がるどきどきをなんとか抑えつつ、作業に取り組む。

 そして、夜。


 未咲「(あっどうしよう……急にすっごくしたくなってきちゃった……)」


 気づいたときには水風船が破裂しそうなイメージになるくらいに膨れ上がり、このままトイレに駆け込んでも間に合うか間に合わないかってところまできていた。


 未咲「(もうちょっと濡れてる、よね……?)」


 豆粒大のシミができてるのを感覚で知る。触るとそれがよくわかり、もう長くはもたないことがわかる。


 未咲「(……おしっこしたい)」


 誰もいないことをいいことに、おもむろにこすってみる。


 未咲「(いいっ……これでもうちょっと我慢できそう……)」


 しかし、それは逆効果だった。


 未咲「(あっ、やだ、やだっ……どんどん駆け上がってくる……)」


 ここをトイレだと決めるしかなかった。わたしは家から持ってきていたいす用の座布団をお尻に敷く。


 未咲「(汚すのもったいないけど……もうどうしようもないから……)」


 尿道がぴりぴりと疼き、おしっこが出口を求めようとする。


 未咲「(出る、でるっ)」


 しゅおぉーーーーっ。大人になってから少し低くなった(かもしれない)音を聞きながら排泄する。


 未咲「(はぁ、でちゃった……)」


 同僚の前では見せられないわたしがそこにいた。


 未咲「んっ!」


 しゅいーーーーーっ! やっと高い音が出た。


 未咲「これこれ、これだよぉ……」


 こんなことばかりもしてられないけど、こうでもしないとやってられない。


 未咲「次からおむつしてこ……」


 会社のパソコンからこっそり注文しておいた。届く日を楽しみにしておこう。

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