第22話 在りし日のハルミ

 ガマンして出したおしっこは、とっても気持ちいい。


 ガマンしてガマンしてガマンしてガマンして、もうダメってなったときに出すおしっこは、他のどんな気持ちいいことよりもカイカンだと、ハルミは思う。


 きょうもそんな日だった。


 春泉「うぅ……おしっこしたい……」


 ちなみにハルミがおしっこの……いや、おもらしの気持ちよさに気づいたのはケッコー早く、二年生のころだった。


 春泉「はやくトイレにいきたいよぉ……」


 またをおさえてもじもじもじもじ。たえきれるかどうか不安になった。


 春泉「トイレについたら、ぱんつおろして、じゃぁぁってしなきゃ……」


 思えば思うほどおしっこしたさは高まり、ついに動けなくなった。


 春泉「きゃっ?! ぅぅ~ん……」


 いま、ちょっとちびっちゃったような気がする。

 もうガマンできない……そう思ったとき、おしっこの穴がいっきに熱くなるのを感じた。


 春泉「だめっ」


 しゅぉぉぉぉっ。これがハルミの、人生ではじめて服を着たまま外でしてしまったおもらしだった。


 春泉「はぅぅぅっ」


 止まらない。そのことがハルミにとって、かなりショックだった。


 春泉「だれも見ないで……」


 ちらっ、ちらっとこちらを見る人がいたような気がしたけど、すぐ通過した。


 春泉「はぁっはぁっ……おわった……」


 ぴくっ、ぴくっとカラダが反応したような気がして、ハルミはこのときおもらしの良さに気づいてしまったのかもしれない。


 その場を離れようとして後ろを振り返ったとき、どこかの飼い犬がくんくんとハルミのにおいを確認していた。


 春泉「やっ、やめて……」


 それがハルミにとってのセカンドインパクトで、気づけばおまたをさわっていた。


 春泉「なにこれ……きもちいい……」


 もうなにがなんだかわからなくなりそうでこわくて、ハルミはいそいで家にかえった。


 春泉「おしっこ……もう一回してみようかな」


 ハルミはそう思い立って、冷蔵庫のお茶やお水を飲めるだけ飲んだ。


 春泉「あとはトイレに行けばそのうち出るよね……」


 そう考えてトイレに入る。


 春泉「あっ、でちゃう……」


 すぐにおしっこがしたくなった。

 服は着たまま。どうせ濡れてるから、もうこのまましようってハルミが決めた。


 春泉「んっ……」


 ちょろろろ、しぃーーーーーっ……長く思えるおしっこの時間が、このときハルミにとってかけがえのないものになった。


 春泉「あはっ、あははっ♡」


 笑うといきおいはさらに増して、それがうれしかった。


 春泉「そんな時期、ハルミにもあったなぁ……」


 いつからおもらしにハマったか、みたいな話の中で飛び出したハルミの話に、みんな終始あっけにとられていた。


 玲香「さすがに早すぎじゃないかしら……」

 未咲「うん……ちょっとすごいよね……」

 春泉「やっ、やめてよあんまりそうやって見つめるの……」


 最後の笑ったときの話をしていたときがいちばん視線きつかった……。


 うみ「ま、まぁ春泉にとっちゃそいつも大切な思い出だろ、な?」

 ロコ「そ、そうだねっ」


 気まずい。乗り切る術も持ち合わせておらず、そのまま時間は流れていった。


 うみ「さてと、そろそろ帰りますか」

 春泉「うんっ、そうだね、バイバイ!」


 急かすような形に、ハルミがみずから持っていってしまった。

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