第21話 女の子という生き物は 〜back to 高校時代のロコ〜

 体育座りをしている女の子がひとり。かつてのわたし、ロコだ。


 ロコ「お願いします、おトイレに……おしっこ、させてください……」


 目の前には誰もいない。だけどわたしの頭の中にはそこにうみちゃんが見えている。


 ロコ「うみちゃんのためならわたし、なんでもするから……」


 そう言ってしまい、少し怖くなっておしっこを出してしまった。


 ロコ「んっ……」


 おなかの中には、それはもうたくさんのおしっこが溜まっていて、いますぐ出したかった。


 ロコ「でも、いまおしっこしたらうみちゃんに……」


 なんて言われるかわからない。だからできなかった。


 ロコ「だけど、もう我慢できない……」


 おそろしい目をしたうみちゃんが見える。これはきっと嘘じゃない。ほんとうに見えてる。


 ロコ「うみちゃん、トイレ……あんっ」


 かわいらしい声とともに、恥ずかしいおしっこの音がそれはもう絞り出すように聞こえてくる。


 ロコ「どうしよう……このままだとおもらし……」


 もうしてるけど、これ以上なんて……。


 ロコ「トイレ……いきたいよぉっ……」


 そう言っている間にもこらえきれなかったぶんがじょっ、じょっと漏れ出てくる。


 ロコ「はぁ……寒い……」


 太ももは出ているし、そんな格好をしている自分がこのときはじめて恥ずかしく思えた。


 ロコ「でも、きょうしないとどうにかなっちゃいそうだったから……」


 そう、わたしはもうときどきおもらしプレイでもしておかないといけない身体になってしまった。


 ロコ「もうちょっとで、出せるかな……」


 出てほしい、と自分の中で暗示をかけて挑む。


 ロコ「あっ」


 もらしたくない、という思いと戦った結果、ついに尿意が勝ってしまった。


 ロコ「わたし、こんなにおしっこしたかったんだ……」


 それくらいに出続け、わたしはこのとき完全におもらしの虜になっていた。


 ロコ「きもちいいよぉ……」


 はしたなく聞こえても、それ以上におもらしの気持ちよさがまさって抗うことさえできない。


 ロコ「はぁ……」


 何やってんだろ……という思いが去来してきて、ゆっくり片付けていくことにした。


 ロコ「んっ」


 お風呂に入っているとき、再び尿意がやってきてたまらなくなったので、出すことにした。


 ロコ「それにしても、なんで未咲ちゃんのおしっこはあんなにも美味しかったんだろ……」


 また飲みたいな……そう思うことはあっても、お願いするのも恥ずかしくて、しばらく飲んでない。


 ロコ「それに、それで体調くずすのもどうしても心配だし……」


 仮にもおしっこ。飲んだらどうなるかなんてたやすく想像できる。


 ロコ「無菌状態がいいからって直に飲ませてくれるのはいいけど、わたしやっぱり恥ずかしい……」


 勢いよくおしっこがぷしゅ〜っと出てくる。


 ロコ「やだっ……」


 みるみる顔が赤くなる。ここまでくるともういろいろと止められなかった。


 ロコ「未咲ちゃんやうみちゃんが悪いんだから……」


 人聞きの悪いことを考えながら、シャワーを浴びた。


 翌日。元気な顔で登校しようと思ったけど、昨晩のことがどうしても頭をよぎる。


 ロコ「おしっこ……ふたりのこと考えながらしちゃったなぁ……」


 もうどんな顔していいのかわからない。泣きたくなった。


 ロコ「ふぅぅぅぅん」


 息が詰まったような泣きかたをしながら、溜まってたおしっこをつい出してしまった。


 ロコ「えっ?!」


 気づいたけど止められない。やっぱり足が冷えてるからかな……。


 ロコ「どうしようこれ……もうすぐ学校なのに……」


 学校に着いてすぐ向かうべき場所が保健室だなんて、このときがはじめてだったかもしれない。


 ロコ「んもぉ……なんなの、最近のわたし……」


 おしっこ我慢しながらオナニーがしたくなったり、きのうみたいなことをしたくなったり。


 ロコ「だらしないなぁ……風紀委員になりたいって思ったことはあったけど、これじゃやっぱりやらなくて正解だったかな……」


 そうこうしてるうちにまた冷えて、再びおもらし。


 ロコ「やだ、やだっ……」


 息が詰まりそうになりながら絞り出せた拒否のことばだった。


 ロコ「まだ出る……? なんだか出ちゃいそう……おしっこ、まだ残ってる気がする……」


 その予感は当たっていて、次の瞬間――。

 ぷしぃーーーーーーっ。


 ロコ「んんんんん〜〜〜っ!」


 これまでにない音を立てたような気がして、思わず目が丸くなった。


 ロコ「はぁ、はぁ……わたし、まだまだほんとうのおもらしを知らなかったんだ……」


 腰は引けていて、その姿勢のまま出すことがこれまでの人生でなかっただけに、この経験はかなり貴重だった。


 ロコ「でもこれ、どうしたらいいんだろう……」


 学校の時間が迫っている。独特のにおいがただようこの空間で、わたしはひとりたそがれていた。


 ロコ「とりあえず、学校に連絡入れなきゃ……」


 そのことだけは頭に入っていて、電話中にもおもらししてしまうなど、下は散々だった。


 ロコ「はぁ、はぁ……ちゃんと考えなきゃ……」


 回らない頭をなんとか回るようにして、やれるだけのことをやっていく。


 ロコ「はぁ……やっと乾いた」


 乾燥付き洗濯機の中に入れておいた制服の水分がとれ、ようやく学校に。


 ロコ「ほんとにわたし、何やってたんだろ……」


 なるべく平静をよそおいながら家を出た。

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