第9話 玲香ちゃんの尿意はあらゆる物理法則をも無視し、しまいには自分の顔にかかる(夢の話)。

 あれはイリュージョンだった。


 玲香ちゃんがパンツからなにか出したと思ったら、それがたちまち浮き上がったんだから!


 未咲「すごい! 玲香ちゃんってそんなこともできたんだねっ」

 玲香「こ、こんなの朝飯前よ……」


 言って、自分から出てきているものをはっきり認識してしまうととたんに恥ずかしくてやめたくなる。


 だけどやめられない。朝からずっと我慢してきたから。


 未咲「あれみたいだよね、水の中で泡が上にあがっていく感じ?」


 あるいはイメージビデオなんかにある、水滴が逆再生で上にあがっていくような。

 未咲はそんなことが言いたかったらしい。美化してくれてありがたかったけど、仮にもおしっこだ。

 見られてはずかしくないわけがなかった。甘い香りも鼻の近くをかすめていくし。


 未咲「おっと、もったいないから飲まなきゃね〜」

 玲香「いいわよ飲まなくて……パンツ越しよ? 汚いのよわかってる?」

 未咲「わかってるよ〜、学生時代ずっとこうしてきたじゃない、今更なんとも思わないよ〜」

 玲香「それはそれでどうなのかしら……」


 そのへんのことは考えて、ちゃんとそこは抗菌のものにしてるけど。


 玲香「……おいしい?」

 未咲「うんっ。えへへ、なんか玲香ちゃんのおしっこ飲んでると童心に帰れそうでいいかもっ」

 玲香「はぁ……早く全部出ないかしら……」


 すべて出し切り、自分でもどんな顔してるかわからないほどに放心しきっていた。


 玲香「どうしてこんなことが起こるのかしら……」


 不思議に思いながら目を醒ますと、そこにはしばらくぶりに見た地図があった。


 玲香「えっ……昨晩飲みすぎたかしら……」


 ショックが大きく、しばらく立ち直れなかった。


 

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