第8話 瑞穂について

 あれから瑞穂は自分の生まれ故郷に帰り、実家の跡を継いだ。


 瑞穂「まったく、きょうも大変ですね……」


 年以上にしっかりしており、それは当時から滲み出てはいたもののうみにはバカにされ続けた。


 瑞穂「いつか会ったらただじゃおかないんですから……」


 そう言いながらも笑ってる。良きライバル関係だったように思うから。


 瑞穂「うみさんには負けないぞ、って思うと不思議と頑張れましたし……」


 なんだかんだでいいクラスメートだったんだ、となぜだか思えた。


 瑞穂「よし、これで終わりかな」


 道具を片づけ、自宅に戻る。


 瑞穂「きょうもおまえには肉の骨ですよー」


 飼い犬のややこに餌をやる。


 瑞穂「おいしいですかー?」


 心の中できっとうなずいてくれることを信じて。


 瑞穂「やること終わったし、すこしゆっくりしますかねー」


 ぽーっと外を眺める。どことない夏っぽさが気に入っていて、ここを離れたくないと感じる。


 瑞穂「この世界に、まだこういうところが残っていたとは……」


 住んでいるところを改めて考えると、そのまれさに底知れない不思議さを感じる。


 瑞穂「みなさんにも見てもらいたいです、わたしの生まれ故郷……」


 連絡手段はどうしても思いつかず、再び会えるなんて到底思えなかった。

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