第6話 中学生のころのお話その4 真琴編
未咲「あの子に関しては、もはや思い出すこともちょっと面倒というか……」
当時未咲と仲良くしていた女子として最後に挙げられたのは向井真琴だった。
訊くと、やたらと健康意識が高く、そういう雑誌を逐一読み漁っては雑学を披露していたらしい。
わたしはあまり関わりを持とうとしなかったので、ふーん……としか思わなかったけど。
真琴「心身の健康こそ日々の充実への近道! ときに未咲、君のおしっこを飲んでる子たちがこぞって肌ツヤがいいというのはどういうことなんだ?!」
思いっきり詰め寄られて、それだけでぶるっときて少しちびっちゃいそうだった。
真琴「わたしにも飲ませてくれ! 実験というと聞こえはよろしくないが、何かきっと秘密はあるはず……さぁ、わたしの口に注いでくれ!」
未咲「えっと……ごめん、ちょっとトイレ……」
真琴「そう言わずに。ほら、わたしの目の前に、隠されたかわいい入り口が見えるようではないか」
未咲「やめて……ほんとにでちゃうから……」
真剣度が高い真琴ちゃんと、若干引き気味のわたし。まったく釣り合わない関係性だった。
真琴「さぁ! 勇気を出して!」
未咲「だめ……もれちゃう……」
ずっともじじしていて、ふだん関わっていないせいもあってかその子にそういうところを見せる気恥ずかしさもすごくあって、そこから少しでも開放されたくてちょっとだけ出してしまった。
真琴「よいではないか! さぁもっと、いつもの君ならこんなこと、屁でもないであろう! 尿ではあるが……」
未咲「だって、真琴ちゃんにこんなこと、したことないもん……っ」
少しずつ、徐々にではあったけど、真琴ちゃんと呼吸をあわせていく。
真琴「よーしよし……愛いやつだ」
未咲「はぁ、はぁ……いくよ真琴ちゃん……わたしのおしっこ、こぼさないようにじっくり味わって飲んでねっ……!」
しゅぅぅぅ〜っと音がして、ようやくひとつになれたと実感。ふたりの間に安堵が生まれる。
未咲「飲んでる……よね?」
真琴「ごぼごぼ(もちろん、ばっちり飲めてるぞ)」
飲みながら話すことができない不器用さがあるにはあるけど、なんだかんだやさしい子だった。
♢
玲香「と、おおむねそんな感じね」
未咲「そう。みんな元気にしてるかなぁ」
貨物船を見届けて、帰国する準備にかかる。
未咲「また、会えるといいね」
玲香「そうね」
飛行機の窓の外を見ながら、そうつぶやいた。
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