一輪車
わたしは一輪車に乗れるようになりたかった。
なぜなら、
私のクラスはみーんな乗れたからだ。
私だけが乗れない。
だから、わたしは休み時間になると、グラウンドに出て毎日練習した。
何度も
何度も
転んで
起き上がって
何度も
何度も
友達をつきあわせて
教わって
練習した。
そんなある日、
ようやく乗れた。
すると、
友達もいっしょに喜んでくれた。
ほんの少し
一メートルだったけど、嬉しかった。
でもね。
私が一メートル乗れるころには、みーんなグラウンド一周乗れるようになっていた。
私だけが少ししか乗れない。
乗れるようになりたい。
みんなのように、グラウンドを何周でもできるようになりたかった。
だから、友達みんな家庭科クラブに入る中、私は一輪車クラブに入った。
一輪車クラブのメンバーはほとんど乗れる。私と数人の別のクラスの男の子たちが乗れないだけだった。
私は練習した。少しでも長い距離を乗れるようにと必死に練習していると、私よりも乗れない男の子たちが、「乗れるからって自慢するな」と言ってきた。
ただのひがみだ。
私は無視してひたすら練習、
練習して
たくさん練習しているうちに、私にそんなこと言っていた男の子たちがいつの間にか私を追い抜いていた。
「自慢してたくせに俺より乗れないじゃん」と言ってきた。
私は無視した。
自慢しているのはそっちだろうと思いながらも、ひたすら練習。
どれくらい練習したのだろうか。
きっと、だれよりも
何倍も練習した。
ふいに思った。
これは意味があるのか。
私はなぜ、必死に練習するのかと
そう思うと 、
これ以上練習することができなくなった。
そして、一輪車クラブをやめた。
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