こねこね

私はこねている。


こねて


こねて


こねまくって、


時々上からおもいっきり押さえつけて、


二つに畳んで


またおもいっきり押して



こねまくる。


いったい、どれくらいの時間それを繰り返していたのだろうか。


時間さえもわからない。



私はただこねている。


いわれるがままに


こねてこねて


こねまくって


やがて、


それは


ちょうど良いものへと変化した。



そこでようやくほっとする。



それなのに


また



こねまくる。



「いつまでやるんだい」



だれかが話しかけてくる


「もう頃合いじゃないかい」


「まだ、まだだよ。これじゃあ、私の理想のものにならないよ」


私は答えながらまたこね始める。



また、


どれくらいの時がたったのかわからない。


「もういい加減にしないかい。待ちきれないようだよ」


そこでようやく手をとめる。


「ここまですれば十分だろう」


「そうだね。待たせたね。あとは頼むよ」


私はそれを友人に渡した。


「ああ、立派なものにするよ」


友人はそれをもってどこかへいってしまった。


それから、しばらくして友人が戻ってきた。


「どうやら間に合ったようだ」


「そうか、よかった」


「よかったじゃないよ。まったく、君の拘りに付き合う僕の身にもなってみてよね」


友人はむっとする。


「それで、先方は喜んでくれたかい」


「ああ、みてごらん」



私は友人に促されて、水晶玉をみる。


そこには、女性に抱かれた赤ん坊の姿だった。



「ああ、立派だ。わたしがこねたかいがあったよ」


「でも、こねすぎだよ。魂をこねたら、あちらの世界で頑丈な子になるだろうけど、やりすぎはよくないよ」


「そうかい。きっと強い子になるよ」


「そうだね」


私も友人は共同で作り上げた人の子を見つめていた。

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