スマホっていいね

スマホというものは便利だ。


情報が、なんでも手に入るし、ゲームだってできる。ずっと、会えなかった同級生なんかともSNSで再会できる。


あとはナビまでついていて、旅行なんかで道に迷ったりしたときなんて結構助かる。とくに方向音痴な私には、嬉しい機能だ。


そんなこといったら、彼氏からナビでも間違えるだろうと突っ込まれたような気もするけど、そこは無視することとする。


それは余談。


まったく関係ない話ぶっこんでしまったことを謝罪します。


話を戻すと、本当にスマホって便利。



とくにこのご時世。


なにかと制約されて、人とふれあうことができなくなった現在においてのスマホの役割な絶大と思う。






感染症の流行によって、施設や病院に入院、入所している人たちが家族との面会ができない。


家族は元気しているのかもわからない。電話では声が聞くことができるが顔が見れない。それがどれほど寂しくつらいことなのだろうと思う。


そんな中で、スマホやタブレットを使用したオンライン面会が開始された。

スマホアプリでのテレビ電話。いろいろな種類のアプリがあるが、ラインが一番適当だということで、私の勤める障害者施設ではラインでのオンライン面会が行われた。


そして、私の担当する入所者のリクくんがオンラインで両親との面会することになった。


リクくんは、私と同じ年で25歳の青年。


知能的にはさほど問題ないが、声がうまくだせない。


そのうえ、体も不自由で両手に麻痺があって、拘縮もあった。どうにか、歩けるけれど長い距離はだめだから、基本的に車イスだ。


彼の実家は施設から一時間ほど車を走らせたところにあるが、週末には必ず両親の面会があっていた。


だけど、感染症の影響で全体的に面会禁止。

急に来なくなった両親。その理由を理解しているために、あつけらかんとしている彼だったが、夜中にこっそりと泣いているところを何度もみた。


どうにかしてやりたい。


そんな思いを抱いていると、施設長はオンライン面会をすることにした。


wi-fiがなかったから、施設につけて、タブレットを買った。それから、入所者への連絡といった具合でそのときはほんとうに忙しかったのだ。


そして、オンライン面会が決まってから一ヶ月後、リクくんのオンライン面会が行われた。


そのためにリクくんの両親はいままで使っていたガラケーを解約して、スマホに切り替えたのだという。



確か、リクくんの両親は四十代だったはず。その年代なら、すでにスマホ持ってそうな気もするが、そうではないようだ。




そして、オンライン面会。



タブレットに写し出された笑顔の父と母をみて、リクくんは満面の笑みを浮かべた。顔立ちは年相応の20代の青年たが、その笑顔は無邪気な子供のように思えた。


何度も何度も「父さん、母さん、僕は元気だ」と笑顔を向ける。


すると、画面の向こうの両親が久しぶりに息子の姿が見るなり、涙を浮かべていた。

何度も何度もリクと名前を呼ぶ。


「泣くなよ」といいながらもリクくんも涙を浮かべていた。


すると母親がリクの元気な姿見られて本当にうれしいと笑顔を浮かべながらいう。


リクくんたちが泣くものだから、わたしももらい泣きした。



いまの時代っていいなあ。



だってスマホがあるもん。



遠くてなかなか会えない人の顔も見れて会話もできる。



人と人を、いつまでも、繋げていけるものだなあと私は思った。

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