第41話 真島 咲、人生を賭ける。


「…は?これ何時から百合ゲーになったの!?」



 乙女ゲーとして購入した筈が、まさかの育成ゲームだった事にもド肝抜かれたってのに、更に百合ゲー要素まで詰め込むとか、好物は混ぜても美味しいんですよ!って!アホかぁぁぁ!!んな訳あるかァァ!!


 基本構成、初めからやり直せぇぇ!!



 誰得だよ!


 全く!



 私はフリージアちゃんが好きだ!


 エルザちゃんも好きだ!



 そして、2人の仲良ラブカップルも好きだ!


 だが、待って欲しい!



 私は別に百合が好きな訳では無いのだ!


 只、フリージアちゃんとエルザちゃんの両方が大好きなだけなのだ!



 だから、2人仲良くイチャイチャしてるを見ているのは、有り難すぎて寿命が延びるだけなのだ!



 ハァハァ...///



 良いぞ!もっとやれ!


 もう私しか勝たん!!



「…いや、ちょっと待って…」



 ハタと私は我に返る。


 蘇る過去の記憶。



 確か、子供の頃の時のフリージアちゃんのお着替えシーンって…。


 …………………。



「ブラックアウトしとってたやないか〜い!」



 い、いかん!このままでは2人のイチャイチャシーンが大自然豊かな映像しばらくお待ちくださいと共に脳内妄想するしかない悲しい事態になってしまうやないか〜い!



「ま、まずい私も向こうの世界に早く行かなければ!……だけど待って!2人の濡れ場シーンに立ち会うのは…流石に…は、犯罪かな?いや、バレなければ…いやいやいや…しかし、あると分かっているのに見逃すのは…だが、もしも見つかって2人にゴミ虫を見る様な目で見られたりでもしたら私は!!嗚呼、でもそれも良い!寧ろそれが良い!!って!!待て待て、マジで待て、私ちょっと壊れ方が、ガチやばい気がしてきた!正気に戻れ!真島 咲!瘴気に呑まれたかの様な不様な様相をフリージアちゃん達にみられたら、その後に私の勝機は確実に無くなる!だからこの不可能任務mission in possibleを確実にこなさなければ…だが、どうやって…くっ、なんて事だ、その手段が思い付かない!嗚呼!!私は一体どうすればいいの!」



 こうして、私こと真島 咲の苦悩の日々は暫くの間、続く事となる。



 ◇



「虎穴に入らずんば虎子を得ず、ですわね。いざ、が為の世界へ!コードネーム渡人わたりびと、覗き見る時間ですわ!」



 そして、私はが為ではなく、おのが為に、乙女達の咲き誇る様2人のイチャイチャ濡場シーンを全力で見守る事を胸に秘め、敢行するのであった。



 もしも、失敗すれば、社会的な死のみである。



 サーチ観測orデッド



 私の戦いは…既に始まっている。

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「汚物は消毒しないと」が口癖のウチのお嬢の大陸改革記。 no.name @fk2310

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