第36話 ご褒美は続くよ、何処までも…。


 その後、何事も無かったかの様に私達は年末お買い物timeに突入したのだった。



 勿論、あのク野郎は改めてボコっておいたが、余りフリージアちゃん達に粗暴な行為を見せたくないので、手早く済ませている。



 ちなみにフリージアちゃんはニコニコ顔で「流石はお姉様!汚物は即、消毒は基本ですわよね!」とのたまっていたけれど、エルザちゃんがそれを聞いて、若干引いていた。


 フリージアちゃん!TPOだよ!T・P・O!



 そんなこんなで、3人で食材コーナーへ。



「ふわぁぁ〜。凄いです!こんなにも種類があるものなのですね!お姉様!」


「こんなに…いっぱい…甘くて蕩けちゃう…」



 ココアの商品棚の種類の多さに2人は頬を染めて目を輝かせている。


 エルザちゃんのげんが若干おかしいのが気になるけれど…。



 さては、エルザちゃんってば耳年増さん?



「どれでも好きなの選んでいいからね」


「はうぁ〜。目移りしちゃいます」


「~~~っ!マシュマロ蕩けちゃう!?………もの凄くエッチです…



 そう言ってエルザちゃんは両手で顔を覆いつつも指の隙間からチラチラとそのココアを眺めていた。




 ……どうしよう。


 本気でエルザちゃんの言動が怪しくなってきた。



「選べた?」



 空気を変えるべく私は2人に話を振ってみた。



「はい!わたくしはこのヴァン・ホーティーンにいたしますわ!」


「えと、えと、私は、その…」



 オロオロしながら先程からチラチラ見ているエルザちゃんを苦笑しつつ見ながら、例のブツを手に取る。



「あっ」


「エルザちゃんはこれでいいのかな?」



 商品名[マシュマロ蕩けちゃうミルクココア]を買い物カゴに入れる。



「なっ!し、知りませんわ!」



 そう言って、顔を真っ赤にしたエルザちゃんはプィッと顔を逸らしツンデレる。




 ……なんだろう。この可愛い生き物は。




 そして、そんなやり取りをしている中、フリージアちゃんはこっそりと私の持つ買い物カゴにチョコクッキーのお菓子を投入していた。


 そんなフリージアちゃんと目が会った私にフリージアちゃんは満面の笑顔で微笑んできた。



 やばい!可愛い!やばい!可愛い!


 何?その、あざとラブリーLvレベルMAXの可愛いさは?




 一体、誰がその可愛いさにあがらえると言うの?


 私は、無理。



 ……はぁ、もう鼻血しか出ないよ。



 次いでに他の必要商品を入れて、2人が疲れないうちに帰宅する事にした。


 本当なら、もっと洋服のショップやアクセも見たかったけれど(行っていないとは一言も言っていない)1度に連れ回すと慣れない場所で2人共、疲れて熱出しちゃって寝込んじゃうなんて事になったりするかもだし、何時でも一緒に来られるならゆっくりと慣らしながら楽しんで貰いたいものである。



 しかし、今更だけど、2人共こっちの言語読めるんだよね。


 これもテキストボードの謎能力の恩恵なのだろうか?



 そう言えるのも私自身が外国語を普通に読めてしまっている事に気がついてしまったからだ。


 こんなミミズみたいな複雑文字アラビア語習った記憶すら無いのに素で読めるし意味も分かる。



 突然記憶に無い能力が発動している事に気が付くとちょっと…いや、かなり怖いな。


 まあ、使えるなら使うけれども…。




 そして、帰宅後、皆でお風呂time。


 ここは桃源郷か!?



 まあ、3人で入るには若干狭かったけれど、それが良い。


 色々な処が…ふははははは…やばっ鼻血が…。



 お風呂後、皆で晩御飯。


 年越しは蕎麦とかなのだろうけど、麺を啜る文化の無いお国柄では、はしたない行為として映るだろうからパスタにしてみました。



 と言ってもマカロニグラタンならぬスパゲティグラタンなのだけれど…。


 これならスプーンでも掬えるし、フォークとナイフで食して貰っても問題ないだろう。





 そして食後は、お待ちかねのココアtime。




「んん〜。はぁ、やはり最高でしたわ。ヴァン・ホーティーン。わたくしの目利きに狂いはなかったようですわね」



 ちょっとドヤ顔しているフリージアちゃんも、やはり可愛い。



「はぁ、マシュマロ蕩けちゃう…」



 そして、例のブツを飲み干してしまったエルザちゃんは物足りなそうな顔で此方を伺ってきた。



「サキ様、私、もっと…欲しいの…」



 ブハッ!!



 やばい!何?この子!私を殺しにかかってきたよ!


 そんな物欲しそうな上目遣いの潤んだ目を向けられて、一体誰があがらえると言うのか!


 私は、無(以下略)。




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