第28話 sideマル そう言えば乙男と男色家の違いってなんだ?

 慌てて口を押さえるマルクス。



 マルクス:

「ちょっと、また勝手に僕の身体使わないでよ」


 マル:

(すまん、感情が昂るとついな)


 急に叫んだと思うと押し黙ってしまったマルクスに家族の視線が刺さる。


 サキ:

「すみません。ちょっとそちらの息子さんお借りしてもよろしいでしょうか?」


 アシュレイ:

「は?」


 フリージア:

「お姉様?」


 突然のサキの呼びかけに一同呆気に取られる。


 が、我関せずとサキはマルクスの手を取り部屋の隅へと誘う。


 サキ:

「貴方、もしかして転生者ってやつですの?」


 サキはそんな事は有り得ないと思いつつもマルクスにそっと確認する。


 マルクス:

「てんせいしゃ?何ですか?それ」


 勿論、日本人でも転生者ではないマルクスはその言葉の意味が理解出来なかった。


 マル:

(まあ、マルクスは正真正銘の現地人だしな。そりゃそうだ)


 サキ:

「なるほど、ならば憑依的な感じですか」


 サキにはマルの事もバレバレだった。


 マルクス(マル):

「(なんやてぇ〜〜!!!)」


 マルクスは訳もわからず叫ばされる。


 マルクス:

「だから勝手に人の身体使わないでよ!」


 マルクスも流石に何度も誤魔化しきれない状況を作られると本気で病人扱いされてしまうと焦りを感じた。


 サキ:

「何となくですが状況は理解しました。マルさんという方は日本人と言う事で宜しいですね」


 こくりと頷くマルクス。


 マル:

(うわ、これは何もかも丸裸状態だな。全裸待機した方がいいのか?)


 サキ:

「いえ、全裸待機はしなくていいです。因みにそんな事したらマルクス君があなたの代わりに大変な事になると思いますけど」


 マルクス:

「止めろよな!本気で!」


 マル:

(いや、やらんがな。言葉のあやって言うんだぜ!これは)



 サキ:

「はァ。えーと話が進まないので取り敢えずマルさんがマルクス君に憑依った理由の説明をして頂きたいのですが」


 マル:

(いや、理由とか言われてもこれって夢でしょ?まあ俺、自分が夢見てるってはっきり分かってるから所謂1つの明晰夢って奴だろ?めちゃくちゃリアルな夢だけど多分このゲームやってる途中で寝落ちしてるから多分そうなんだろう?)


 サキ:

「なるほど、マルさん的にはそんな感じですか。因みにそのゲームタイトルは覚えてますか?」


 マル:

(確か、誰が為に花は咲くだったかな?)


 やっぱりタガサク。


 サキ:

「ん?あれ?そう言えば、貴方って男の人よね?男性で乙女ゲーしてるの?乙男なの?それとも男色家とか?」


 マルクス(マル):

「(乙男じゃねぇしホモでもねぇよ!ただのギャルゲーマーだ!)」



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