第22話 サキ、病気になる。
サキ:
「そうだ、フリージアちゃん」
フリージア:
「なんですの?サキお姉様」
サキ:
「これから私の家、遊びに来ない?」
フリージア:
「まあ!いいんですの?」
満面の笑みを浮かべるフリージア。
しかし、その顔は徐々に翳る。
フリージア:
「ですが、申し訳ございませんお姉様。私、この後ダンスレッスンがごさいますの。とても魅力的なお誘いですが辞退いたしますわ」
サキ:
「そうなんだ。残念」
フリージア:
「宜しければ、お姉様もご一緒にどうです?」
サキ:
「ダンスかぁ。私、学生の時にマイムマイムとオクラホマミキサー位しか踊った事ないなぁ〜」
フリージア:
「まいむまいむとおくらほまみきさーですか?それってなんですの?」
サキの発する謎の呪文に困惑するフリージア。
呪文じゃねぇわ!
サキ:
「えっと、マイムマイムはイスラエル民謡でオクラホマミキサーはアメリカ民謡…だったかな?あんまり覚えてないけど、確かそう」
フリージア:
「民謡ですの?」
サキ:
「そうそう。庶民のお祭りの時に、焚き火を囲んで踊るんだよ」
フリージア:
「へぇ〜。市井にはその様なダンスがございますのね」
サキ:
「まあ、日本ではあんまりやんないけどね」
フリージア:
「にほん?」
サキ:
「うん。私の住んでる国ね」
フリージア:
「ああ、成程」
納得するフリージアはサキの話を聞きながら、ダンスレッスンの部屋の前に来た。
うおっ!いつの間に移動してたの!?
コンコン
フリージア:
「フリージアです。入室宜しいでしょうか」
???:
「はい。どうぞ」
返事を聞きガチャりとドアを開けて挨拶するフリージア。
フリージア:
「失礼いたしますわ、アルベルト先生。今日もご教示をお願い致しますわ」
そこに居たのは紳士然とした見た目40歳程のロマンスグレーな男性だった。
アルベルト:
「はい。フリージア様、時間通りでごさいますね…はて?フリージア様、そちらは?」
フリージア:
「サキお姉様ですわ!今日は一緒にダンスレッスンを受けようかと思いまして」
アルベルト:
「はあ、左様でございましたか。失礼ですが、サキ様」
サキ:
「ふえ!?」
アルベルト:
「サキ様は、ダンスはどれ程嗜まれているのでしょうか?」
サキ:
「え?あれ?これ本気でダンスしちゃう系ですか?フリージアちゃん」
フリージア:
「お姉様、ご質問されてる先生を無視して私に話しかけるのはマナー違反ですわよ?」
サキ:
「うぇぇ、えと、すみません。全く出来ないです」
慌てて、アルベルトに謝罪するサキ。
アルベルト:
「いえいえ、問題ごさいませんよ。では、サキ様はとりあえず見学という事で」
サキ:
「あ、それで!」
アルベルトの提案に心底ホッと胸を撫で下ろすサキ。
………何だろう。
ホッとはしたよ?確かにしたけどさ、な〜んか一々文章で目の前に出されるとちょっとイラッとするというか。
内情を別方向から晒されると他人に指摘されてる感が半端ないのだよ!
フリージア:
「大丈夫ですわ!サキお姉様!お姉様ならすぐに会得出来ますわ!」
サキ:
「フリージアちゃんのその私にも無い自信はいったい何処から湧いてきたの?」
フリージア:
「実戦は机上の空論に勝ると言いますわ!ほら、お姉様一緒に踊りましょう!」
突然、両手を握り絞めてステップを踏み出すフリージア。
サキ:
「ふ、フリージアちゃん、ちょっと、ちょっと待って!」
強制終了させて、フリージアと目を合わせるサキ。
サキ:
「私、ワルツの踊り方もステップも全く分からないの。少し見学させて、ね!お願い!」
フリージア:
「残念ですわ。私サキお姉様と一緒に踊りたかったですのに」
ガッカリするフリージア。
アルベルト:
「フリージア様、初めての方に無理を申されてはいけませんよ」
フリージア:
「はぁ〜い」
少し不貞腐れるフリージア。
ヤバい!不貞腐れるフリージアちゃんも可愛い!!
ここまで来ると最早、病気である。
やかましいわ!
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