第23話 一緒にダンスをした。

 サキ:

「フリージアちゃんの踊るところ見たいな!そしたら覚えられそう!覚えたら、今度はちゃんと一緒に踊りましょ」


 サキの言葉を聞きフリージアの笑顔が一気に咲き誇る。


 フリージア:

「はい!お姉様!」


 その会話の影でアルベルトは鼻を鳴らして苦笑していた。

 そこには見ただけで踊れるなら講師は要らないだろうという感情が見て取れた。



 え、そうなの!

 ちっ!澄ました紳士と思っていれば、頭くんなぁ〜!ならやってやんよ!オッサン!


 腹に据えた私は全力でアルベルトとフリージアちゃんのダンスレッスンをガン見した。


 スキル〈完コピ〉を覚えました。

 オートセーブします。


 サキ:

「ん?スキル?」


 サキは徐ろに自分のステータスボードを開く。


 ++++


 name:マジマ・サキ(真島・咲)

 age:22

 rank:∞

 skill:

 ・テキスト

 ┗言語翻訳

 ・タイムスケジュール

 ・世界干渉

 ┗強制介入

 ・スキル制作

 ・共有感応

 ┗共感覚

 ・完コピ

 ┗オリジナルアレンジ

 ・未設定

 ・未設定

 ・未設定

 ・未設定

 ・未設定

 ・未設定

 ・未設定


 status:我、何人も干渉を違わず。

 symbol:渡人・創世人・観測者

 World:誰が為に乙女は咲く。


 ++++


 なんか、いつの間にかスキルがいっぱい派生してるし、どういう事?


 後、共有感応に共感覚が派生る意味が分からない。

 共有感応と共感覚は種類がまるで違うぞ!というツッコミは忘れない。



 アルベルト:

「フリージア様、素晴らしいですね。基本のステップは完璧です。次回からは応用編をやって行きましょう」


 フリージア:

「はい!ありがとうごさいました」


 サキ:

「フリージアちゃん、お疲れ。とっても素敵だったよ!」


 フリージア:

「ありがとうごさいます!お姉様!」


 サキ:

「そうだ、私ダンス覚えれたっぽいから、ちょっとだけ一緒にやってみる?」


 フリージア:

「まあ!そうなんですの!流石お姉様ですわ!では早速やりましょう!」


 アルベルト:

「お待ちください、フリージア様」


 フリージア:

「何ですか?アルベルト先生」


 アルベルト:

「今、素人と踊ってはせっかく完璧に身に付けたばかりのステップを殺してしまいます。サキ様もどうかご自重下さい」


 サキ:

「あら、随分な言い草ですね。…うん。でしたらアルベルト先生が踊って下さらない?」


 アルベルト:

「ふむ、まあ良いでしょう。先程の慌てっぷりの素人が見ていただけでどれほど優雅に踊れるか楽しみですね」


 アルベルトに嫌味を言われムッとするも、サキはサキのスキルがどれ程の効果があるのか試したかったのでグッと堪える。

 ダンスならば多少失敗してもそんなに影響は無いだろうと考えたのだ。



 ……いや、そうだけども。

 なんでアンタが言っちゃうの?



 サキ:

「では、アルベルト先生、お願い致します」


 アルベルト:

「ふ。ではお手並み拝見いたしましょう」



 そっと優雅に手を差し伸べてくるアルベルト。


 ニコリと笑って手を乗せてホールドポジションへ。


 アルベルト:

「では、行きます。one two three、one two three」


 優雅にリードするアルベルト。

 それに対応して軽やかにステップするサキ。


 アルベルト:

(ほう、これはこれは)


 初めてとは思えない動きとステップに驚くアルベルト。

 そんな様子を見て取り、得意気にリードし始めるサキ。


 サキ:

「フィニッシュ宜しいですか?」


 アルベルト:

「では、合わせましょう」


 2人目線を合わせ互いににこやかに微笑むとフィニッシュのステップを踏み、フリージアに対して2人優雅に礼をする。


 パチパチパチパチパチパチ


 ものすごい勢いで拍手を贈るフリージアに再び笑みを向けるサキ。


 フリージア:

「流石ですわ!お姉様!とても優雅でお綺麗でした!」


 サキ:

「ありがとうフリージアちゃん」


 アルベルト:

「いやいや、何とも素晴らしく楽しい時間でした。途中で主導権を持っていかれた時には、まさかと思いましたが、実に素晴らしいダンスでしたよ。いやはや、私の完敗でしたな。ははは」


 サキ:

「いいえ、アルベルトさんのリードもとても踊り易かったです。流石、フリージアちゃんの先生をされている方だと感服いたしました」


 フリージア:

「はい!とてもとても素敵でしたわ!」


 アルベルト:

「ふふ、いやはや、この様な素敵なレディー達に褒められるなど至福の至りですな」


 フリージア:

「今度は、私とお願いしますわ!宜しいですわよね?アルベルト先生」


 アルベルト:

「ええ、勿論。ですがレディーサキ、男性パートは大丈夫でしょうか?」


 サキ:

「あ、はい!勿論覚えました」


 アルベルト:

「ははは。これは教師として肩無しですな」


 そう言って肩を竦めるアルベルト。


 フリージア:

「お姉様、早く早く!」


 サキ:

「はいはい。もうフリージアちゃん落ち着いて」




 それから、しばらくの間、私はフリージアちゃんと楽しいダンスの時間を楽しんだ。

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