第18話 フリージアちゃんのあざと学講座。

「あ、あのサキお姉様?」


 思考の渦潮に溺れ沈んでいた意識が呼び戻される。


「え?何?フリージアちゃん」


「いえ、何かフリーズしてらしたので」


「あ〜。うん、ちょっと服のチョイス間違えたかなぁ〜とね。ちょっと服探すから私の部屋行こっか」


 ちゃちゃっと自分の身支度をすませ、フリージアちゃんには新しいバスタオルを身体に巻いてもらって寝室に連れて行く。


 何だか、行動の一部だけ見ると言葉巧みに裸の少女を寝室に連れ込んでる感が半端ない。


 小学生の年齢の少女に不埒な事したら完全に事案ですがな!

 お巡りさんこっちです!になってしまう!


「さて、ブラウスならいけるかな?ボタンで止められるし、フリージアちゃんこれちょっと着てみようか」


「あ、はい」


 無造作に巻いていたバスタオルを床に落とす。

 スレンダーなボディなのに10歳とは思えない自己主張するちっぱいとワレワレワレワレワレワレワレワレピーーーーーー!


 はっ!いかん!明鏡止水!そうだ!明鏡止水の境地で挑まねば、フリージアちゃんが風邪を引いてしまう!


 ブラウスを着せてみた。


 うん。何だか彼氏Yシャツ着てる少女のエロいシーンにしか見えない。

 しかも履いてない…だと!


 エマージェンシー!エマージェンシー!

 私の思考がエロ方面にしか機能しない件について。


 だが、これ以上選択の余地が…。


「と、とりあえず上にパーカー着よっか」


 長い袖からちょこんと指先だけが出て、太ももを若干隠す長さのパーカー。

 これは、あざとすぎやしないか。


 ありがたや〜ありがたや〜。


 こんなん、両袖を口元に持って行って上目遣いとかされたてお姉様とか呼ばれたら、もう襲うしかないだろ!


「サキお姉様?」


「ぐはぁ!」


 何故だ!何故、貴女は私の妄想的理想な行動をピンポイントでしてくるのだ!?フリージアちゃん!

 もう完全に私を殺しに来ているではないか!


 童貞を殺すフリージアちゃん。

 いや、処女殺しか。


 もう、ベッドに押し倒し…ゴホンゴホン!連れ込んで…んんっ!んんっ!…お休みになってもらうしかない。


「フリージアちゃん、もう寝よっか」


「そうですわね……あ、あのサキお姉様?」


「ん?何?」


「サキお姉様はどちらでお休みになられますの?」


「え?あ〜、リビングのソファーかな?」


「いけませんわ!こんなに寒くなっていますのに」


 それは淫靡なファッションショーしてたからだね。

 ごめんね。


「え〜と、そうね。でもベッド1つしかないから」


「ならば、ご一緒に就寝いたしましょう。その方が暖かいですわ」


「え?いいの?」


「勿論!サキお姉様が家主ではありませんか。当然の権利ですわ」


「そう。じゃあ、おじゃましようかな?」


「ええ、どうぞ遠慮なさらず。ふふ、誰かと一緒に寝むるなんて初体験ですわね」


「え?そうなんだ。あ、そうだ寝惚けてフリージアちゃんの事、抱き枕にしちゃうかもだけど大丈夫かな?」


 ここでフリージアちゃんに許可を得ておかないと暴走した時大変だからね。念の為の保険はきちんと掛けとかないと。


「ならば私は初めからサキお姉様を抱き枕に致しますわ」


 ファッ!


「……そ、そう?ならお相子という事で」


「ふふふ。そうですわね、お相子ですわ」


 そう言って、ぎゅうと抱きしめてくるフリージアちゃんに私もギュッと力を込める。


「息苦しかったら言ってね」


「大丈夫ですわ。ふふ、とても暖かいですわ。それにいい匂いがします」


 それはこちらのセリフでわ?

 柔らかくて暖かくていい匂いがしてこのまま私は召されてしまうのでわ?


 フリージアちゃんの頭に顔を埋めてくんかくんかする。

 ふっ!マリア、貴様の野望は私が先に頂いた!

 ψ(`∇´)ψフハハハハ!!

 ざまぁwwwwマリア!!


 等と考えていたらフリージアちゃんが私の胸に顔スリスリと擦り寄せてきた。

 そして、ふはぁ〜と熱い息を吐く。


「サキお姉様ぁ〜」


 何?この可愛い生き物!

 マジでやばい!可愛い過ぎる!!

 何?これ誘ってんの?

 何?これ襲っていいの?


 私、我慢したんだよ!

 これでも頑張って理性総動員したんだよ!

 でも、良いよね?

 私、もうゴールしても良いよね?


 ポカポカの中、微睡みの中で思考が溶けていく。


「お姉様ぁ〜」


 その囁くような甘く蕩けるようなフリージアちゃんの呟きに私の理性という糸が切れた。


「フリージアちゃん!」


 フリージアちゃんを見るとすぅすぅと寝息が聞こえてくる。

 私の事を翻弄するだけ翻弄してフリージアちゃんはそのまま眠りに付いたようだ。



「……………お休み、フリージアちゃん。いい夢見てね」


 一気に戦意を失った私は、そう言って昂ったこの気持ちの最後の抵抗にフリージアちゃんの頭にキスする。



 そして、ひだまりの様なポカポカの中、私も気が付けば眠りに落ちていた。

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