第14話 自己紹介してみた。


「はァ〜満足致しましたわ」


「お粗末さまでした」


「それにしても貴女の所の食事は何時も美味ですわね」


「ありがとうございます。フリージアちゃんの喜ぶ姿が何より私のご褒美です!」


「あら?お上手ですわね」


「え?本音ですけど?ずっとフリージアちゃんを愛でていたい位には」


「なぁ!あ、あ、貴女ねぇ!」


「なんですか?フリージアちゃん❤」


 フリージアちゃんににっこり微笑むとプルプル紅くなるフリージアちゃん。

 やっぱりフリージアちゃんは最高だぜ!



「はあ〜、もう良いですわ。貴女が家の使用人では無いのでしたら、私が他家に対する礼儀がなっておりませんでしたわね。大変失礼いたしましたわ。それに私、貴女の名前も聞いておりませんでしたわ」



「あ〜そうですね。私ばかりフリージアちゃんの事知っているのは不公平でしたね。では改めまして、私、真島 咲と申します。京都府出身の現在22歳です。趣味は乙女ゲーで…あ、そうだ名刺をどうぞ」


 そそくさとフリージアちゃんに自分の名刺を渡す。



「は、はあ」



「後、改めて自分の事となると何を話していいのか余り思いつかないのですが、フリージアちゃんは私に何か聞きたい事ありますか?」


「そ、そうですわね色々聞きたいことは山積みですけど、何故、貴女が私の事を知っていたのかは聞きたいですわね」


「あ〜ですよね」



(う〜ん。どうしよう正直、ゲーム内のデータなんですよなんて話したら絶対ショック受けるだろうし、画面の向こうを見てたとか?あ、そうだこれなら)


「フリージアちゃん。実は私の世界では別世界を観察出来るんですよ。例えば…」


 と言って徐ろにテレビのリモコンを取り、チャンネルをカチャカチャ変える。


「先程も説明しましたが、この画面でここから遠い場所の情報を観ることが出来るんです。そして…」


 ゲーム画面を起動させると何時もの乙女ゲーが始まるが画面がフリーズした様に動かない。


「あ〜。そうかフリージアちゃんがこっち居るから向こうの時間が進まないのか」


「???」


「え〜と、止まっちゃってますが、この画面がフリージアちゃんの世界画面です。ただ、恐らくなんですがフリージアちゃんがこっちに居るので向こうの時間もこちらの世界の時間と同期して進んでいるみたいですね」


「……申し訳ないのだけど、私には貴女の言っている事が1つも分からないわ」


「フリージアちゃんの世界時間は、本来ならこの世界の時間より速く進んでるんですよ。因み通常なら向こうの1日の時間はこちらの5分ですね」


「は?え?ちょっと待って下さい!でしたら私早く帰らなくては私の為に捜索隊が出てしまいますわ!」


「いやいや、ですから今は時間が同期しているんですって。ん?同期してるのかな?止まってるって可能性はないのか?…そう言えばフリージアちゃんが前に此処に来た時って向こうで何かトラブルとかありました?」


「トラブル…ですか?む〜そうですわね。その日は寝間着では無く室内着でベッドに入っていて、起こされたメイドに忠言された事…位かしら」


「なるほど。因みに此方に来る前は廊下だったんですよね」


「そうね。書庫からの帰りでしたし」


「ふむふむ。となると時間同期も怪しいな。これ完全に時間止まってるかも?なら休日昼間に来てくれたら2人で遊びに行きたい放題って事?うわ!キマシタワー!」


「なんですの?突然。それに貴女1人で納得なさって完結しないで下さいまし」


「ああ、ごめんごめん。ちょっと妄想が膨らんでトリップしてたわ。うん。え〜と結論なのか分かんないけど、恐らく此方の世界でのフリージアちゃんが何時まで居てもフリージアちゃんの世界に影響は無いんじゃ無いかなぁ〜的な感じ?」


「はあ?」


「え〜とフリージアちゃんがこっちに居る間は向こうの世界の時間は進まないって事かな」


「え?時間を制御出来るの貴女!もしかして創世神様なの?」


「創世神様!?」


「貴女は世界を造られた創世神様なのですわよね?」


「え?何?創世神て?違うよ?アク○リオンとか持ってないよ?」


「あくえり?…ですが先程、他の世界を見て時も管理して居られると…」


「え?そうだね。いや、時は管理してないよ?観測はしてるけど。大体、世界に干渉なんてして…あ、してたわ」


 フリージアちゃんのスキルコンボしてたわ。

 アハハ。


「やはりしておられるのですのね。ならばやはり創世神様なのではなくて?」


「いえ、ある意味ここはあなた達の世界の創世神の国になるのだけれど…説明面倒いなぁ。え〜と私は制作者じゃないからその創世神様とかではありません」


「でも…」


「もう〜フリージアちゃんは10歳なのに難しく考え過ぎだよ。もっと気楽に考えて、異世界でお友達が出来たってだけでいいんじゃないのかな?」


「え?…いいのでしょうか?」


「いいんですよ、それで。大体フリージアちゃん以外はこの世界に干渉出来ないでしょ?」


「そうなんです?」


「そうなんです」


 そう言ってゲーム画面でフリージアちゃんのステータス画面を表示させる。


 ++++


 name:フリージア・ピュア・ホワイト(シア)

 age:10

 rank:75

 skill:

 ・ピュアクリーンLvMax(聖浄化)

 ・徒手格闘LvMax(拳王の型)

 ・挑発LvMax(令嬢の極み)

 ・威嚇LvMax(覇王の風格)

 ・精神攻撃LvMax(淑女の嗜み)

 ・感知LvMax(暗部の理)

 ・人心掌握LvMax(帝王の器)

 ・交渉LvMax(ラプラスの悪魔)

 ・瞬間記憶LvMax(真理への道)

 ・再生LvMax(奇跡の祈り)

 ・付与LvMax(世界の贈り物)

 ・剣舞LvMax(妖精の踊り)

 ・社交LvMax(異世界への扉)


 status:UVカット・抗菌・プロテクト

 symbol:伯爵令嬢・戦乙女・聖女・渡人


 ++++



「な、なぁ!」


 突如として暴き出された自分のステータスに愕然としているフリージアちゃん。


 まあ、そうだろう。いきなり他人に自分のスリーサイズと体重を暴かれた様なものだ。


 そんなん激怒げきオコ案件だ。


「えと、フリージアちゃん落ち着いてね。ここ、ここ見て」


 そして、社交の箇所の(異世界の扉)を指差し注目させる。


「これ、このスキルがあるから来れるのはフリージアちゃんだけなんだよ」


「そ、そうなんですわね…でもでも扉という事は何かを出し入れするものではなくて?」


「うっ!言われてみればそうかも…う〜ん。ならフリージアちゃんが扉なのか?いや、扉は出入りしないだろ…ぶつぶつ」


「あ、あのサキ様?」


「ひゅえ!?」


 突然、咲様呼びされて思考が吹っ飛んだ。


「どうされました?サキ様」


「え〜と、フリージアちゃん。様付けはちょっと…」


「そうですの?ですが創世神様に敬称を付けるのは当然かと」


「だ・か・ら!私は創世神様ではありません!友達!フリージアちゃんのお・と・も・だ・ち・だから!」



 全く先が思いやられるよ。トホホ。


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