第7話 もう5歳になりました。早いな。

 ウチのフリージアちゃんは今5歳になった。

 そして、とても5歳とは思えない成長ぷりを発揮していた。


 ◇◇


フリージア:

「エリーさん。そこまだ汚れていますわ」


エリー:

「は、はいお嬢様」


フリージア:

「リリさん。このカップ、若干匂いますわ。洗った後は必ず煮沸消毒して下さいと厨房の者に伝えて下さい」


リリ:

「かしこまりました。必ずお伝えいたします」


フリージア:

「アルミラさん」


アルミラ:

「はい。お嬢様」


フリージア:

「ドレスの生地別で外干しと室内干しは分けた方が良いですわ。あと外干しは必要以上に日光に当てると日焼けしますので気を付けるように」


アルミラ:

「かしこまりました。洗濯メイドに伝えておきます」


フリージア:

「よろしく。あと、マリアさん」


マリア:

「お嬢様!そこはマリアおねーたんでお願いします。ハアハア」


フリージア:

「………貴女は心が穢れているので私の半径3m以内には近づかないで下さい」


マリア:

「そ、そんなぁ〜!お嬢様ぁ〜!」



 ◇◇


 どうやら、マリアによる変態への道は回避されたようだ。

 善きかな善きかな。


 急速に賢さが増したフリージアは5歳手前で物凄い読書家になっていた。

 日がな一日、読書と鍛錬をしている。


 ちなみに、鍛錬にはお邪魔虫マリアが必ず付いてくる。


 朝のジョギングと軽い体操をするフリージアちゃんの後ろをハアハアしながら付いてきているマリアに対してフリージアちゃんに悪寒が走る度に徒手格闘の訓練も追加されていた。


 寧ろ、スキルコンボを私が繰り出しまくっていた。


 ちなみに、フリージアちゃん現在のステータスはこんな感じ。


 ++++


 name:フリージア・ピュア・ホワイト(シア)

 age:5

 rank:10

 skill:ピュアクリーンLvMax(聖浄化)up

 ・徒手格闘LvMax(拳王の型)up

 ・挑発Lv8(強い奴に会いに行く)up

 ・威嚇Lv9(ツンドラ)up

 ・精神攻撃LvMax(淑女の嗜み)up

 ・感知LvMax(暗部の理)up

 ・人心掌握LvMax(帝王の器)up

 ・交渉LvMax(ラプラスの悪魔)up

 ・瞬間記憶LvMax(真理への道)up

 ・再生(お直し)new


 status:UVカット・抗菌・プロテクト

 symbol:伯爵令嬢


 ++++


 なんか、むっちゃスキルレベル上がってる。

 と言うか、3歳から5歳までの間ピクリとも上がらなかったレベルが5歳になった途端に有り得ないくらいに一気に上がった。


 謎だけど、恐らくマリアに対するストレスが一気に爆発したんだと私は予想している。


 だってマリアかなりキモかったし。


 おい!そこ同族嫌悪とか喧しいぞ!


 私はいいの!他人に迷惑かけてないから!


 ◇◇


アシュレイ:

「シア。今いいか?」


フリージア:

「お父様。はい、問題御座いません」


アシュレイ:

「明日、私の友人が訪ねてくるのだが子連れらしくてね。それで、シアも一緒に持て成してくれないだろうか?」


フリージア:

「構いませんわ、お父様」


アシュレイ:

「すまないね」


フリージア:

「いえ、では明日の予定変更をジョンに伝えて来ますわ」


アシュレイ:

「そうか、あまり庭師の仕事の邪魔にならないようにするんだよ」


フリージア:

「心得ておりますわ」



 ◇◇


「はあ?いつの間に庭師と仲良くなってんの?あれ?イベント無かったよね?」


 あまりにも意味不明過ぎて頭が混乱する。


 一体いつの間にジョンとやらと仲良くなった。


 ◇◇


フリージア:

「ジョン。今いいかしら」


ジョン:

「お嬢様。なんでございましょう」


フリージア:

「明日の薔薇の花の剪定の見学、行けなくなったわ」


ジョン:

「そうですか」


フリージア:

「ええ、また今度お願いね」


ジョン:

「かしこまりました」


フリージア:

「……ちなみに、あの子は誰?」


フリージアはジョンの後ろで草むしりをしている男子に目を止める。


ジョン:

「あれは、私の息子のジェームスです。今は庭師見習いの勉強をさせております」


フリージア:

「そう。精が出るわね。貴方!ジェームスですわね」


ジェームス:

「なんだ?あんた」


 ゴンっ!


 唐突に頭を殴られるジェームス。


ジェームス:

「つう〜。何しやがる親父!」


ジョン:

「馬鹿野郎!伯爵様のご令嬢に向かってなんだその態度は!すみませんお嬢様」


 無理やり頭をさげさせられるジェームス。


フリージア:

「ジョン。問題ないわ。それにまだ自己紹介がまだだったわね。初めまして、私はフリージア、フリージア・ピュア・ホワイト。このホワイト家の主の娘ですわ。以後お見知り置きを」


ジェームス:

「ジェームス」


フリージア:

「そう。よろしくね」


ジョン:

「申し訳ございません、お嬢様。馬鹿息子の礼儀がなってませんで」


フリージア:

「いいのよ、別に気にしないわ。但し、汚れたままで近づかないでね。何時も清潔を心掛けるように」


ジェームス:

「なんでそんな事言われなきゃ」


 ゴンっ!


 再び頭を殴られ頭を抱えるジェームス。


ジェームス:

「いっってぇぇー!」


ジョン:

「いちいち口答えするな!馬鹿息子!」


フリージア:

「ジョン。別に貴方の子息に対する躾に口出しする気は無いけれど、あまり頭を叩き過ぎると余計に馬鹿になるわよ」


ジョン:

「申し訳ございません」


フリージア:

「それは何に対しての謝罪かしら。私は気にしないと言ったわ。ジェームスも私には素で接してくれて構わないわ。でもいつも清潔にしててね」


ジェームス:

「してなかったらどうすんだよ」


フリージア:

「私が強制的に浄化するわ、こんな風に」


 そして、スキル【ピュアクリーン】を発動。

 ジェームスの汚れてボロボロだった服どころか身体の傷さえも癒えてピカピカになった新生ジェームスがそこにいた。


 唖然とする2人を尻目にお暇することにする。


フリージア:

「それでは、私はそろそろ失礼するわね。お仕事の手を止めてしまって申し訳なかったわ」


ジョン:

「い、いえ。とんでもありません」


フリージア:

「では、失礼しますね。ジェームスもまた今度ね」


ジェームス:

「う、えおお」


 ヘンテコな返事をするジェームスにクスリと微笑みながらその場を去った。


 ◇◇


「あ、庭師の息子とはここで出会うのね。でも庭師のジョンと一体いつ知り合ったんだ?そんなイベント無かったような。しかも薔薇の剪定見学とか本当にいつ約束してたの?」


 私の知らないうちにイベントが進行しているとか、怖すぎなんだけど。

 もしかして、あれか?

 訓練してる時とか?


 もしか庭師のオッサンとの邂逅なんてイベントはガン無視されたとか?


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