第6話 フリージアちゃんは3歳になりました。

 次の日の朝、私は朝食を取りつつゲームを立ち上げる。


「なんか、乙女ゲーと言うよりも育成シュミレーション感が半端ないのよね、このゲーム。おかしいなぁ?確かにパッケージには恋愛シュミレーションって書いているのに」


 もぐもぐ


「まあ言うても、それはそれでハマっている自分がいるというか」


 もぐもぐ


 そして、今日も今日とて相変わらずのスキルコンボプレイを熟す日々。



 ◇◇



フリージア:

「おぎゃーおぎゃー」


マリア:

「そうですかそうですか。よしよし」


 抱っこして身体を揺らす。


フリージア:

「おぎゃーおぎゃー」


マリア:

「わかりますわかります。よしよし」


 頭を撫で撫でする。


フリージア:

「おぎゃ」


マリア:

「いい子いい子。よしよし」


 頭の匂いをくんかくんかする。


フリージア:

「すぅすぅ」


マリア:

「眠っちゃいましたね。……うぅ!マジでどしゃ可愛いい」


 そっとベッドに寝かせる。


マリア:

「えへへー。寝顔も天使やんなぁ〜。マジ食べちゃいたいよ。うへへ〜」



 ◇◇



「やべーよ、こいつ変態か?」


 でも、可愛い物好きならこんなものか?


 しかし、本当にヤバいのは此奴のスキルだ。

 今まであらゆるベビーシッターやメイドさんを鬱らせてきた精神攻撃(夜泣き)を此奴の隠密スキル消音でアッサリとクリアしやがった。


 ちなみに、感知スキルを得たからか、ログに相手の使用したスキルが見れる様になっていた。


「これが…暗部の底力だというのか…」


 そして、誰もツッコまない。

 お独り様なんでな!


 そして、乙女ゲーと名ばかりの育成ゲーを続けて晴れてフリージアちゃんは1歳になった。


 なったけどお誕生日回とかは無かった。


 そして、2歳になり、先程3歳になった。

 けれど、お誕生日回は1度でさえ発生しなかった。


 赤ちゃんだからか?



「あ、やばい、流石にもう寝ないと」


 またな、フリージアちゃん。

 元気に育てよ。



 ◇ー◇


《リンクスタート》


《データベースアクセス》


《ベクトルネットワークアクセス》


《アクセスユーザーヒット》


《アクセスユーザーイマジナリーパターンリリース》


《ロジックアナライザリリース》


《オールクリア》


《オートスタート》


 ◇ー◇



「ただいまぁ〜。ああ〜疲れた。早く癒しが欲しい。愛しい愛しいフリージアちゃん。今会いに行きます!なんちて!」


 相変わらずの突っ込み不在。


 そして、何故だか最近イケメンに癒されたい欲よりフリージアちゃんに癒されるようになった私はどうかしている。


 しかし、3歳ともなると1番プリティーなお年頃。

 フリージアちゃんたら、めっちゃくちゃ可愛ええんやて!


 しかも最近良くお喋りするんよ。

 メイドちゃん達との会話がめっちゃ可愛!


 ちなみに、最近のフリージアちゃんのステータスはこんな感じ。


 ++++


 name:フリージア・ピュア・ホワイト(シア)

 age:3

 rank:6

 skill:

 ・ピュアクリーンLv6(浄化)up

 ・徒手格闘Lv6(くるくるダンス)up

 ・挑発Lv3(休眠中)

 ・威嚇Lv3(休眠中)

 ・精神攻撃Lv5(休眠中)

 ・感知Lv6(空気読み)up

 ・人心掌握Lv5(プリティスマイル)up

 ・交渉(おねだり)new

 ・瞬間記憶Lv6(絶対音感)up


 status:UVカット・抗菌・プロテクト

 symbol:伯爵令嬢


 ++++


 なんか気づいたらステータスとシンボルとか言う項目が出来ていた。


 なんでステータスの中にステータス?とか思ったけれど、恐らくフリージアちゃんの健康状態の表示だと思われる。


 要するに健康って事の様だ。

 しかし、健康状態UVカットって意味分からん!

 いや意味は分かるよ?

 一生美白って事でしょ?


 しかし、UVカットしかり抗菌とかプロテクトとかウチの業界用語ポイのがまた笑える。


 シンボルはまんまステータスシンボルの事だね。

 フリージアちゃんは伯爵家のご令嬢様って事だ。


 ちなみに、挑発・威嚇・精神攻撃は2歳になるくらいに突然休眠状態になった。


 もしかしたら、反抗期に再発するのかもしれない。


 そんな事はさておきだ!


「ただいまぁ!愛しのフリージアちゃん!会いたかったよぉ〜」



 ◇◇




フリージア:

「マリアおねーたん。シア、クッキー食べたいなぁ」


マリア:

「あらあら、お嬢様。先程お食べになったばかりでは?」


フリージア:

「シア、もっとも〜っと食べたいの。…ダメ?」


マリア:

「うぐぅ」


フリージア:

「マリアおねーたんも一緒にたべよ?」


マリア:

「ぐはっ!ど、どちゃくそ可愛ええ!ぺろぺろしてぇ!」


フリージア:

「マリアおねーたん?」


マリア:

「し、しかたがないですね。ではお嬢様、少しだけですよ?食べたらきちんと歯磨きしましょうね」


フリージア:

「うん!ありがとう!マリアおねーたん!」


マリア:

「ハアハア。は、鼻血出そう」



 ◇◇


 初めた直後にフリージアちゃんの激可愛イベントとか!しかも特大の癒しイベント!最高かよ!

 だがマリア、貴様は要らん!


「結局この変態からは逃れられなかったな。フリージアちゃんの将来の不安要素め…どうしてくれよう」


 まあ、どうしようもないんだけどな!



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