第4話 フリージアちゃんは今日も元気いっぱいです。


「ふう、疲れた」


 いつものように仕事をし、いつものように電車に揺られ、いつものように買い物して、いつものようにに自室でグダる。


 昨日のミスを繰り返さない為に、今日は初めに風呂に入り、買ってきたご飯を頂きつつ昨日の続きを始める。


 昨日風呂に入ってからそのまま寝たせいで髪の毛が爆発してたのよ。

 マジで焦った。

 朝にまたシャワー浴びて、職場ギリギリセーフだったのだ。


「さてさて、フリージアちゃんはどないしてるかな?」


 ゲーム画面のフリージアは相変わらず赤子だった。


 そりゃそうだ。

 勝手に成長してたらホラーだよ!


 そして、スキルコンボを繰り返ししていると突然イベントが起きた。


 ◇◇


メイドA:

「旦那様。申し訳ございませんが私、お嬢様のお世話係の自信が無くなりました。別の部署に移動させて頂けませんでしょうか?」


アシュレイ:

「アルミラ、何故だ?お前はフリージアに1番懐かれていたではないか」


アルミラ:

「旦那様。お嬢様のビンタは痛うございます。最近では目から星どころか、打ちどころが悪ければ気を失ってしまう時もあるのです。これ以上は私の身体が持ちません。どうかお許しを」


アシュレイ:

「そ、そうか。それは済まない事をした」


アルミラ:

「いえ、とんでもございません」


アシュレイ:

「すぐにという訳にもいかんからな。すまないが今月は我慢してくれ」


アルミラ:

「はい。旦那様、ありがとうございます」


 ◇◇


「ええ??」


 まさかスキルコンボがベビーシッターいじめになっていた?


 だとしたらアルミラさん!申し訳ない!


「しかし、かと言ってスキル経験値上げる以外する事ないしなぁ。どうしたものか」


 兎に角この乙女ゲーと名ばかりの育成ゲーはそれ以外する事がないのだ。


 ログには延々と〈今日も1日すくすく育ちました〉しか表示されないのだ。

 勿論、スキルのレベルが上がったり、新しいスキルが生えるとログに表示されるが、基本的には〈すくすく育ちました〉オンリーなのだ。




 そして、しばらく悩んだ結果、私は何も出来ない事を悟り、次の人に期待する事にした。



 次の人、ファイト!



 そして、しばらく月日が流れ、新しいベビーシッターが付いた。



 ◇◇



メイドL:

「今日からフリージアお嬢様のお世話役になりましたリリと申します。よろしくお願いしますね」


フリージア:

「あぅ」


リリ:

「まあ!お返事されるなんて、お嬢様は賢いですわね」


フリージア:

「あぶぅぶぅ」



 ◇◇



 あれから時間があれば、せせこましく乙女ゲーをプレイしていた。

 毎日毎日、仕事と家事と乙女ゲーを繰り返しタガサク浸りの毎日を過ごしていると、ゲーム内時間が3ヶ月程たった。

 そんなある日、イベントが起きた。

 

 ちなみに、この3ヶ月間スキルコンボは続けていた。

 私にはそれ以外する事がないのだ。

 後は、寝るかオッパイを飲む位しかする事がない。


 ◇◇



リリ:

「だ、だんなざまぁ〜。私にはもう無理ですぅ〜」


アシュレイ:

「そうか…リリでも駄目か。わかった、今まで良く耐えてくれた。すまないリリ、前の担当に戻ってくれ」


リリ:

「おやぐにだでずにもうじわげございまじぇん〜」


アシュレイ:

「いや、いい。分かっていたことだ」


リリ:

「じづれいじまず〜」


アシュレイ:

「ああ」


 沈黙が流れアシュレイは唐突に声を発する。


アシュレイ:

「要領の良いリリならばあるいはと思ったが、ままならないものだな。……やはり暗部に頼むしかないか」



 ◇◇



「ふぁ!?」


 不穏な空気のまま唐突にイベントが終わり、またいつものルーティンが始まる。


「いやいやいや!不穏過ぎるわ!何?フリージアちゃん実父に暗殺でもされるの?止めてよ!マジで怖いわ!」



 まさかのルーティンがフリージアちゃんの未来に影を落とすなんて。



 ちなみに今のフリージアちゃんのステータスはこんな感じ。


++++


 name:フリージア・ピュア・ホワイト

 age:0

 rank:2

 skill:

 ・ピュアクリーンLv2(綺麗って気持ち良いよね)new

 ・徒手格闘Lv2(駄々こねからのパンチとキック)up

 ・挑発(指ちゅぱ)

 ・威嚇(駄々こね)

 ・精神攻撃Lv2(間隔開け夜泣き)up

 ・感知(感受性豊か)new


++++


 よく分からないうちにランクが上がっていてピュアクリーンと徒手格闘と精神攻撃のレベルが上がった。


 徒手格闘と精神攻撃はスキルコンボで上がったのは分かるけど、ピュアクリーンはなんで上がったのだろう?

 レベルが上がる要素皆無なのだが?

 ベビーシッターさんが毎日、綺麗キレイしてくれてるからか?


 でも、他人にやって貰っている事ならフリージアちゃんのスキル関係ないよね?

 全く意味がわからん。


 後、スキルが増えた。

 そして、感知と感受性の関係性を誰か説明して頂きたい!



 そんなこんなでウチのフリージアちゃんは今日も恙無くすくすくと綺麗好きな脳筋に成長しておいでです。

 ヤバいな。早く何とかしないと。



 しかし、する事がこれ以上、全くもってさっぱりわからんのじゃあ!

 攻略サイト無いし、手探り状態で出来る事なんて、兎に角スキル育てる以外やれる事が無いんだよ!



 てか、0歳の赤子にビンタパンチキックされたところで大人に大したダメージないと思うんだけど、なんで皆辞めて行くのかな?

 謎である。


 そんな疑問を抱くのは私だけだろうか?

 だって0歳の赤ちゃんだよ?

 何?毎回クリティカルヒットでもだしてんの?


 子供産んだ事ないからイマイチ赤子から受けるダメージゲージが分からん。



 等と考えていたら新たなイベントが起きていた。


 そう。

 新たなベビーシッターが来たのだ。


 次のベビーシッターは何ヶ月くらい持つのだろうか。

 てか、アシュレイさん!

 まさか、本気でこんな事でフリージアちゃん殺さないよね?

 本気で不穏なんだけど!


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