第4話
ジョニーはチャールズとの決闘を受けることにした。
「では、外に出ろ。」
といって仲間とともに酒場から外で出ていった。
それに続いてジョニーも酒場を出よう一歩踏み出した。
その時に、チャールズの手下の一人に俺が投げ飛ばされたことを思いだし。
俺に話かけてきた。
「大丈夫だったか?」
「ああ、大丈夫だ。問題ない」
俺は1人で立ち上がりながら、ジョニーに答えた。
「それよりも大丈夫か?」
と逆にジョニーに聞き返した。
主語を言わずとも決闘のことを聞いているのだとだとジョニーも理解している。
ジョニーは真剣な表情を崩すことなく
「なぁに、勝つさ」
とだけ言って。外へと出ていった。
それに続き酒場に居た客も皆、ジョニーとチャールズの決闘の行方を見届けるべく外へ出ていく。
彼らから一歩遅れて俺も外へ出た。
そこには道の真ん中に立つジョニーの姿があった。
そして数メートルの距離を取り、向かい合って立っているチャールズの姿があった。
酒場の客だけでは無い。町中の人達がその道に面する建物の軒先にズラリと並び、この決闘の様子を見ていた。
その中にはチャールズの手下達の姿もある。
ジョニーとチャールズの一対一の決闘なので手下も含め、誰もジョニーとチャールズの近くには居ない。ジョニーとチャールズだけが道の真ん中に立っている。
「さてジョニー。皆がお前が死ぬところを見ているぞ。準備はできているか?」
「ああ、いつでもお前を撃ち殺せる」
「では、始めようか」
そう言って。チャールズとジョニーは話をやめた。
お互いに腰の拳銃の近くに手を構える。
町の者達も何も言葉を発さずに、じっと二人の様子を見守る。
あたりに緊張がたちこめる。
しかし一番最初に拳銃を触ったのは、軒先から決闘を見ている、1人の男だった。
その男はジョニーの死角側、背中から何も気づいていないジョニーを撃とうとしていた。
その男はチャールズの手下の一人だ。
チャールズはやはり醜悪な男だったのだ。
そして手下はジョニーに銃口を向けた。
その瞬間
バァーン!!!
一発の銃声が響いた。
俺の撃った銃弾が、その手下の拳銃を持つ腕を貫いた。
「うぅ…」
ジョニーを背中から撃とうとした手下のうめき声がする。
ジョニーとチャールズを含め皆が撃たれた男を見て、そしてその男を撃った俺の方を見る。
「正々堂々、やるんじゃ無かったのか…?」
一体何が起きたんだ?と静まりかえっている皆に俺は答えた。
その一言でチャールズが不正を働いていたことをジョニーも周りの人間も理解する。
俺はチャールズの手下の一人に酒場でなされるがままに投げ飛ばされたその時に、その男の腰にぶら下がっている拳銃をガンベルトからスリ取っていたのだ。
その男は腰の両側に拳銃をさしており、俺を掴んだ手は右手だったので、おそらく利き手と逆であろう左側(後々スラれたことに気づきにくいほう)の拳銃をスリとるためにワザと投げ飛ばされたのである。
自分の不正行為が失敗に終わったことに気付いたチャールズは
「クソッ!」
と拳銃を抜き、今度は己の手でジョニーを撃ち殺そうとした。
しかし、チャールズがそのような行動をとることを想定していた俺は、チャールズが引き金を引くよりも先にチャールズの眉間を撃ち抜いた。
頭を撃ち抜かれたチャールズは力を失いそのまま地面に仰向けに倒れた。
そして俺は今度は残されたチャールズの部下達に銃口を向けた。
チャールズの手下達は、チャールズが撃たれたことに驚き何も出来ずにいる。
しかしすぐに我に帰った彼らは走って逃げ出した。
チャールズという圧倒的なボスがいなければあのギャング共は、またこの町に戻ってくるようなことは無いだろう。
オレは必要以上に殺しはしたく無い、と彼らに向けていた銃を下ろした。
ジョニーは
「待て!」
と逃げる手下達に発砲した。
銃弾はその内の一人を仕止めたが、残りの手下達はそのまま消えていった。
こうしてジョニーとチャールズの決闘は意外な形で終わりを迎えた。
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