面白い小説その4 世界観
カクヨム講評企画の評価基準の最後の項目が『世界観』です。
私はこれをキャラクターと同じように考えることができると考えています。
以前の考察による仮定をそのまま使用すると、作品における魅力的な世界の条件とは『魅力的な世界を設定すること』と『その世界をリアルに感じさせること』になります。
舞台が現代や歴史上のある地点であれば『世界の設定』は必要ないと思うかもしれません。しかし、必ずしもそうではありません。どの場面を切り取って、どのように描くかで世界は全く違った顔を持ちます。たとえばヤクザの裏社会と学校教育の現場では、全く違う理念や法則で動いています。『構図を決める』ことは世界を設定する上で最も重要なファクターです。
設定上はかなり自由なファンタジーやSFの世界でも同じようなことが言えます。
世界を完全に一から作ることは稀でしょう。ある種のテンプレがそれぞれあって、それらを選び、アレンジしていることがほとんどだと思います。しかし、なんでもかんでもナーロッパ(なろうの異世界テンプレ)でいいのでしょうか。
守護してくれる神々がいれば多神教です。閉塞感のある中世の教会のイメージなら一神教です。価値観が多様な世界を描きたければ多神教、もしくは国や地域によって宗教が違う世界を設定する必要があるかもしれません。
これが『構図を決める』ということです。
そして、もうひとつの要素が『その世界をリアルに感じさせること』です。
騎馬民族の軍団を登場させているのに、その国が都市と農村だけだったらいくら何でも変です。また、同じくらいの広さの国土で遊牧民族と農耕民族の人口が同じということもあり得ません。生産性が全く違うからです。
封建制度で領主が自らの軍勢を持っている場合、皇帝が絶対権力で全土を支配している場合では政治の力学が全く変わってきます。国王が支配者でいられる理由が権威なのか、軍事力なのか、経済力なのか。国民は政治に不満を持っているのか、奴隷的な思考でただ従っているのか。それによってキャラクターの思考パターンにも影響が出てきます。
そこまで考えなくても……と、思うかもしれません。
もちろん、他の要素で書籍化の条件を備えていればナーロッパで公募を突破することも可能でしょう。しかし、少なくとも作品の底上げにはつながります。最近は特に歴史に興味を持つ女性が増えたことで、世界観の重要性が以前よりも大きくなってきたような気がします。
さて、一次選考。それから更に受賞を目指してどうすればいいか、どんな作品を目指していいかを論考してきましたが、この項目でひとまずは終わりです。
次回は、ちょっとした後書きになります。
この論考に最後までお付き合いいただいて、本当にありがとうございました。
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