一次選考と二次選考以降の違い
一次選考と二次選考以降は何が一番違うのか……。それは採点方法の違いです。
一次選考については、すでに足切りが目的であると論考しました。つまり減点法です。しかし、二次選考以上は加点法である。私はそう考えます。
出版社の目線になって想像してください。一次選考はもう終わっています。最低限の要件をクリアした作品に優劣をつけるとしたら、いかに優れた(売れる)要素があるかということでしょう。その要素を積み上げていき、上位から取っていくのが二次から最終までの選考です。
ここで注意したいのは、加点法は一見『優しいように見えて優しくない』ということです。
『アイディアが面白い』は加点要素ですが、『アイディアは普通(特に優れてはいない)』は0点です。公募の目的が売れる作品を発掘することである以上、無難にまとまった作品には公募上の価値はないのです。
また、よく『公募は相対評価なので、レベルが高い作品が集まった年度は不利』とも言われます。これは半分は正しく半分は間違いです。
これはプロ野球のドラフト会議に似ています。
優秀な新人がいない年でもドラフト1位はいます。契約金をもらうのが目的なら、確かに競争相手が少ない方が有利でしょう。しかし公募の目的が売れる作品の発掘であるように、ドラフト会議の目的は一軍で活躍できる選手を入団させることです。ドラフト1位から6位まで誰も活躍しない年もありますし、下位指名も含めて何人も活躍することもあります。いわゆる当たり年というやつです。
プロ野球選手になりたい。小説家になりたい。それが目的なら、その年のレベルが高くても不運に嘆く必要はありません。当たり年の下位指名(奨励賞など)でも実力が認められればスーパースター(ベストセラー作家)になれる場合があります。逆に不作の年にドラフト1位になっても、未来が約束されたわけではありません。
それでは、実際にはどのような作品が選ばれるのか。
皆さんの興味は恐らくそこでしょう。
先に私なりの推論を書いておきます。
一次選考を突破した作品が最終的に選ばれるための要素は二つある。ひとつは作品としての普遍的な価値、もうひとつは出版社の販売戦略に合致していることである。
次回は公募と出版社の販売戦略との関係について論考してみたいと思います。
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