ござ目
「肩が外れそうだから、そろそろ降りてもらっていい?」
見た目に反して重みのある唯織に軽く言えば、不気味な笑いが返って来て、口元が引き攣った。
「呪いをかけた」
「え、ああ。九尾の妖狐に結婚を諦めなければ何か発動する呪いをかけたんだ。唯織。実力のある陰陽師だったんだね」
「九尾の妖狐にじゃない」
「はい?」
「おまえにかけた」
「はい?」
「私から半径五メートル離れたら、髪の毛がその時期折々の花に変化する呪いだ。常に虫と一緒だぞ」
「いや。いやいやいやいや。あんたなにしよっとね!?」
「蜂とか虻とか危険な虫は来ないようにしといた。友達だからな」
「いい顔すんなやなんで私がそんな身を挺して止めなくちゃいけないんだ?」
「友達兼婚約者だからだろ」
「その設定いつまで引き摺る気だ?」
「永遠?」
「首を傾げんな可愛い!!」
「どうも当然だけどな」
「はいはいはいはいはい。可愛い唯織ちゃんはさっさと呪いを解いてよっちゃんとこに助けを求めに行ってください」
「よっちゃんとは誰ですか?」
「唯織のめっちゃ仲いい人です」
力んで九尾の妖狐に幼馴染昔話をしようとした時だった。
「悪魔にスカウトされちった」
舌を上唇に乗せてウインクをするよっちゃんが、背中に黒い翼を生えさせる、青白くひょろっちい、全身黒づくめの悪魔を携えてやってきた。
「よっちゃんんんんんんんん!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます