網代
「私を連れて行くならこいつも一緒に連れて行け」
今の今まで脚にしがみついていた唯織は、するすると器用に私の身体を登って右肩に腰を下ろしたかと思えば、顔をやわく抱きしめた。
いやー。はっはっは。
私の身体凍りついてない?
「いやいやいやいや。私のセリフだよね。唯織を連れて行くなら私も一緒に連れて行けって言うとこだよね?言わないけどね。連れて行ってほしくないから」
「なんだ。おまえ。私と会えなくなってもいいってのか?」
「たとえ遠く離れても心が通じ合っていれば問題ないらしいよ」
「その棒読みはなんだ。微塵も思ってないだろ」
「だって、生身で宇宙に放り込まれたとしても、支障なく生きてそうだもん。どこだって大丈夫だろうって。信頼してるし。あー。今日も未知の世界で生きてんだって思えば、まったく。寂しくないね」
「いい顔すんな。まったく嬉しくねえ」
「はは。お二方はとても仲がよろしいのですねえ」
おおっと。
殺気と冷気が緩和されないばかりか、熱気が加わったぞ。
「いやいやいや。友達ですよ。ちょっと年数だけが多い友達」
「そうそう。仲がいいんだよ、この世の誰よりも」
あんた、そんなに私を巻き込みたいのか?
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