第14話 隠された真実
ハルヤが思いついたのは一言で言えば25日がすぎるまでカズヤとともに過ごすこと。25日に死亡という共通点とともに、カズヤの死亡は毎回ハルヤの知らない所――離れたところで起きている。そのため、自分の近くにいてもらえば約束もできるため最善だと考えた。
いくら死なないとはいえど、腹部を強打するのは相当な苦痛が伴う。そう考えると二度と失敗はしたくない。
作戦の内容はこうだ。
本日16日に、カズヤに説明をする。この時点で信じてもらえない可能性もある。途轍もない賭けになるが今のハルヤにはこの方法しかない。
説明後、カズヤを25日が終わる頃――26日まで家に泊まらせる。今回はカズヤに家にいるということ以外は普通に学校へも行くため、母の説得は不要だろう。もし聞かれたとしても、そこは前回検証済みなため母の信頼に甘えさせてもらうことにした。
20日の事故、21日の暴行、25日の事故を避けることは可能になった。
登下校中の問題だが、幸いハルヤの小学校には危険を考慮してか、希望する生徒にのみ先生の同行が認められている。なんて心優しい学校なんだろうか。大抵、夜まで家に親がいない生徒はトワイライトを利用するため、この制度を使う人はごくわずかなのだ。
そうと決まれば、
「カズヤ!! 今日から25日まで家に泊まりに来いよ!!」
早速カズヤを誘った。
「ええ、そんなに長くは申し訳ないよ、親にも許可取らないとだし・・」
ハルヤは相手の親を考えていなかったため、少し動揺した。しかし、
「もううちは許可取ってるし、お前んちも俺がお願いしにいくよ」
ハルヤは引かなかった。実際ハルヤはとても人見知りで、人の親など話せるわけもなかった。しかし、カズヤを救いたいという気持ちが人見知りをゆうに超えていたため、なんでもやってやる勢いだった。
「うーんじゃあ今日お願いしに行こう、僕もハルヤんちには止まりたいしね」
カズヤはハルヤの意思に負け、お願いを受け入れた。
8月25日
無事カズヤの両親にも許可がとれたハルヤたちは、放課後早めに家に帰り遊んでいた。
今日を乗り越えればカズヤを救える・・・・
「今日でお泊りも最後だ、楽しかったな」
「うん、楽しかったよありがとう」
「あのさ、ハルヤ、大切な話があるんだけど聞いてくれるかな」
――来たか、引っ越しの報告
「お、おうなんだよ急にかしこまって」
あくまで知らない体で、得意な大根ぶりを発揮した。(ぶり大根じゃないよ)
「僕、誰かに狙われている気がするんだ」
カズヤから発せられた予想外の発言を前に、ハルヤは呆然するしかなかった。
「狙われてる?どういうことだよ」
思わず聞き返してしまった。
「最近家に脅迫文みたいなのが届いてて、親も悩んでるんだ。泊まるを快諾してくれたのもそれの影響」
狙われてる?? もしこれが今回に限ったことじゃないとすると、過去の事故は故意的なものになる。
「どんな脅迫文なんだ?」
解決につなげるためにも詳細を聞くことにした。
「なんか、子供が憎いとか、移動に気をつけろとか、許さないとか、とにかく不気味な内容なんだ・・」
移動に気をつけろだと? ということは原因は引っ越しということなのか? しかも子供が憎いって、カズヤを狙ってるってことなのか??
「おいカズヤ、脅迫文が届き始めたのっていつからだ?」
「確か16日からだったと思うけど・・」
16日――これはハルヤが巻き戻った日。なぜかとは思っていたがこんな理由だったとは・・
「こんなことしてる場合じゃねえ、はやくカズヤんち行かねえと!!!」
ハルヤは焦り、パニック状態になり急いで家を飛び出した。
カズヤの家の前に着くと、扉の前には組織の人間がいた。あの時――二度目に死んだ理由となった大柄な男たちだった。
「おい!! 人の家の前で何してるんだ!!!」
ハルヤの叫び声を聞いて、大柄な男たちは一斉に振り返る。そして、
「なんだお前、ここの家のやつじゃあねえだろ」
「ここの家は俺の友達の家なんだよ」
「ほお、友達っていうのは後ろにいるやつだろ?」
ハルヤは後ろ? といい後ろを振り返る。
そこには家に置いてきたはずのカズヤが立っていた。
「ハルヤ、あのね」
「なんでいるんだよ、きちゃだめだろ!!」
カズヤの言い分を否応なしに聞こうとせずハルヤは怒鳴った。
「なにしてるの? 話が違うじゃないか」
カズヤは男たちにそう告げた
「うるせえ!!」
男たちはどこからか刃物を取り出し、ハルヤとカズヤを刺した。あまりのスピードの反応する余地もなくその場に倒れた。
「何するんだ・・ここまでしろとは言ってないだろ・・・・」
――言ってない? カズヤは何を言ってるんだ??
「悪いね、お前を殺せって大金の依頼が飛び込んできたんでな、お前みたいな幼稚なやつを優先してられないんだよ」
――大金?? 依頼??
検討もつかない単語が次々に飛び交い、ハルヤは混乱状態に陥った。
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