第二章 対岸のアザーブルー(1〜2)

   1



「兵藤さーん、例の取材の方を連れてきましたよー。兵藤さーん!」


 目の前の引き戸にはインターホンが無いため、彼女は勢い良くノックを繰り返す。この島の取材におけるパートナーである鳴海朝陽は大声で家主の名前を連呼していた。


「朝陽さん、ノック強くないですか」


 引き戸が外れんばかりの勢いで叩く様子に面食らって僕はつい止めに入った。こう言ってはなんだが、今にも潰れそうな木造家屋で本当に人が住んでいるのか疑いたくなる外観だった。


「大丈夫ですよ。いつもこれくらいで呼ばないと気付いてくれないから」

 再び引き戸を叩き始める彼女に僕はこっそりとため息をついた。




 今朝、僕が身支度を整えて海猫荘の共用リビングで待っていると、従業員用のドアから朝陽さんが顔を出した。


「おはようございます。今日からしっかりエスコートさせてもらいますね、星野さん」

「お世話かけます」


 田島さんのスケジュールでは、まずは件の陶芸家の所へ行く予定になっていた。その陶芸家、兵藤善治はコミュニティの活動にも積極的に参加しており、地域活性化における立役者の一人だ。


 取材内容は彼女にも事前に共有されていたようで、昨日のうちに観光協会から車を借りてきてくれた。僕らは海猫荘の裏手にある母屋の駐車場へと向かう。駐車場には町のシンボルマークがプリントされた白のセダンが停まっていた。あれが観光協会の車なのだろう。


「さて、じゃあ張り切って行きましょう。さあ乗って乗って」


 僕に助手席の扉を開けて、自分は運転席に乗り込んだ。後部座席には昨日船でも被っていた麦わら帽子が転がっていた。僕はそれを避けて後部座席にそっと機材を置いてからシートベルトを締めた。


「鳴海さんに運転までお願いしてしまって、なんかすみません」


 彼女は手慣れた様子でキーを回す。エンジンが静かに車体を震わせた。


「いえいえ。あ、それと私のことは朝陽で良いですよ。海猫荘に居るときに鳴海じゃあ誰の事かわかりづらいですから。なんたって全員鳴海ですし」


 彼女は楽しそうにふふっと口元を綻ばせる。ほぼ初対面の人を名前で呼ぶのは少し抵抗があるけれど、本人がその方が良いって言うならそうしよう。名前呼びにいちいち照れる年齢でもない。


「わかりました。朝陽さん」

「じゃ、発進です!」


 二十分程度の道中では当たり障りのない話をして過ごした。しかしその短い時間で、彼女が印象通り人懐こく明るい人だという事がよくわかった。


「いやぁ、まさか船でタックルかましちゃった人に実家で再会するとは思いませんでしたよー。その節はとんだご迷惑を」

「僕もまさかと思いました。あの時一緒に居たのは妹さんですか?」

「妹の美夜です。今高三でオープンキャンパスの為に本土に行ってきた帰りだったんです。私はその付き添いで」

「島だとオープンキャンパスに行くのも一苦労ですね」

「暮らすには不自由しないんですけど、ここに大学はないですからねぇ。美夜は私と違って頭が良いですから。ま、島を出て一人暮らしがしたいってのが本音かもしれませんけど。高三になってもツンツンしちゃって、全く可愛い妹ですよ」


 屈託無く話す様子から妹を本当に可愛がっているのだろう。


「でも親元を離れたいって気持ちはわかりますよ。僕自身進学で上京しましたから」

「あら、星野さんも」

「僕の場合は漠然とした憧れとか焦りからですけどね。昔は、自分とそう年が変わらないのに活躍してる人達が世の中にはごろごろ居て、それなのに自分は何も無い田舎で燻っていて良いのかって。とにかく実家を出る事で何かが変わるんじゃないかって期待してたんですよね」


 ちょっと青臭い話だったかな思ったけれど、朝陽さんは「青春してたんですねぇ」と軽く流してくれた。

 車は住宅地を抜けて山道に差し掛かる。山に入る直前に生い茂る木々よりも頭一つ抜けた細長い煙突が見えた。


「あの煙突の所が兵藤さんの工房です。もうちょっとで到着します」


 夏の太陽の恩恵か木々は競うように枝を伸ばし、道路への日差しはほとんど遮られている。車は木漏れ日の中を走り抜ける。全開の窓から入ってくる風が先ほどまでよりひんやりと感じられた。実際に気温も一、二度違うんじゃないだろうか。


「さっきのお話の続きなんですけど、実家を出て、一人になって何か変わりましたか?妹の参考までに。私は高卒で今の職場に就職しちゃったので進路について碌なアドバイス出来ないんですよねー」

「うーん、どうでしょう。結局僕はまだあの頃の延長線上に居る気がします」


 チャンスからも現場からも遠ざかった今となっては、この気持ちを一生抱えていく気さえする。

 上京したって、一人暮らしをしたって、就職して働いたって、納得のいく自分になんてなれなかった。焦りは募るばかりで、置いて行かれるのが怖くて、頑張り抜いた先に見えたのが病院の白い天井だったなんて笑い話にもならない。


 そんな事まで口に出せるはずもない。どう答えたものか考えをまとめようとした所で、車はタイミング良く工房に到着した。

 そして今、家屋の主からの反応は一向に無い。繰り返したノックも呼びかけも森の静けさに吸い込まれていった。


「うーん、さては酔っぱらって寝てるな」


 僕は留守なんじゃないかと思ったけれど、朝陽さんの見解は違うらしい。


「仕方ない。えいっ」


 引き戸に手をかけて玄関を開け放ち、そのまま中へ入っていく。ていうか施錠してないのかよ。不用心な。


「ちょっと、勝手に良いんですか」

「大丈夫ですよー、兵藤さん普段から制作に集中してると気付いてくれないので、出てこなかったら入って来いって言われてますから。よくあるんですよ」


 半信半疑ながら僕も後に続いて玄関で靴を脱ぐ。中に入ると思ったよりも小綺麗な作りになっていた。床板にはワックスの光沢まで見られ、どう見ても外側より新しい。


「意外と綺麗でしょう?兵藤さん、移住する前に何度も通って自分でリフォームしたんですよ。そのうち町の人とも仲良くなって、みんなで手伝ったりして。だからここは兵藤さんの家なんですけど、みんな良く知ってるんです」

「朝陽さんも手伝ったんですか?」

「その頃はまだ中学生でしたからねーそういうことは全然。部活の方が楽しかったですし。でもお父さんが良く通ってたので何度かお弁当を届けたりしましたよ。うちのお父さん、民宿やってるせいか新しく来た人の世話を焼くのが好きなんです」


 民宿だってそれなりに忙しいのに困った父です、彼女はそう苦笑しながら締めくくった。その世話焼きの恩恵を今まさに受けている身としては「良いお父さんじゃないですか」と返すしかない。それにその気質は、確実に彼女にも遺伝しているように思えた。


 朝陽さんの案内で廊下を進む。少し進むと右手に作業場のドアを見つけた。開けるとそこには白髪の混じった中年男性が、年季の入ったソファーに横たわっていた。地響きのようないびきからして、一目瞭然で眠っている。海岸に横たわる巨大なトドのようだ。


 一拍遅れて、アルコール臭が鼻をついた。本当に酔っているらしい。


「兵藤さん起きてくださーい。兵藤さーんっ」

「あぁん?」


 朝陽に激しく揺さぶられてようやくドスの利いたうめき声が返ってきた。


「今日取材の約束だったでしょう、覚えてますか?」

「ん、あ、あぁ朝陽ちゃん、か」


 のそり、という擬音後がしっくりきそうな緩慢な動きで起きあがった兵藤は目頭をぎゅっと押さえた。

 見かねた朝陽は工房の隅にある水道からコップに水を汲んできて渡した。兵藤はそれを無言で受け取り一気に飲み干した。上下する喉仏がやけに太い。


「まったくもう。ちょっとはすっきりしましたか?」


 強面である兵藤にも全く物怖じしない。僕は正直少しだけびびっている。


「......ダメかもしれん」


 朝陽は大きなため息をつく。


「嫌な予感はしてたんですよ。昨夜はお祭りの会合があったから。どうせまた朝まで飲んでたんでしょう」

「......すまん」

「私じゃなくて星野さんに謝ってください」


 兵藤のぎょろりとした瞳が初めてこちらに向けられた。無精ひげに刈り上げた頭髪、陶芸家というより猟師や武道家を思わせる雰囲気だ。


「初めまして。今回田島さんの代わりに取材に参りました、ライフトーンの星野秋人と申します。本日はよろしくお願いします」

「兵藤善治だ。悪いなこんな状態で。なんの取材だったっけか」

「うちのECサイトでも人気の器を作っている兵藤さんの日頃の制作活動を切り口として、この町での暮らしについて取り上げていきます。なので兵藤さんの他にも何人か取材する予定でいます」


 兵藤が再び目頭を押さえてうつむく。僕はここまで来て取材を断られやしないかと気が気じゃない。


「......俺以外に誰を取材するんだ?」


 聞かれてぱっと出てこず「えーと、ちょっと待ってください」と鞄から資料を出そうとする僕の代わりに朝陽さんが答えてくれる。


「すみれさんにハカセさん、あとは新城さんだよ」

「よしわかった。ちょっと待ってろ」


 兵藤はポケットから携帯を取り出し、どこかに電話をかける。ガラケーを久しぶりに見た。


「おう、急で悪いんだけどよ、今日時間あるか?いや、例の東京の記者さんの取材なんだが、俺の代わりに今日受けてやってくれないか。......いや俺はちょっと体調悪くて無理そうなんだ。......あぁ、わかったわかったしょうがねえな。んじゃ、頼んだぜ」


 何やら話がまとまったらしい。


「星野さん、悪いが今日は俺じゃなくてハカセさんの方に行ってくれや。話はつけといたから。俺は明日にしてくれ」

「まーたハカセさんに無理言ったの。ダメですよあの人押しに弱いんだから」


 朝陽が呆れ顔でため息をつく。僕としてもこんな状態の兵藤を取材するのはどうかと思っていたので仕切直せるならそれに越したことはない。二日酔いで眉間にしわの寄った写真を記事に載せるのは抵抗がある。


「わかりました。では日程のやりとりの為に連絡先を教えてもらっても良いでしょうか」


 兵藤と連絡先を交換して僕と朝陽さんは工房を後にした。観光協会の車に戻ってシートベルトをつける。


「兵藤さんて、いつもあんな感じなんですか?」

「たまにね。まあ今は週末のお祭りの事で忙しいからなぁ。商工会の話し合いって真面目な内容でもお酒入るとヒートアップしちゃって、結局朝まで続くことも多いので」


 まず真面目な話に酒が入るのはおかしい。

 ただし前職では比較的よく見た光景でもあった。その熱量と昭和な感じが広告の世界を思い出させる。朝まで企画について話し合ったり、自分はああなりたいこうなりたいと仲間たちと語り合った夜がいくつもあった。


「朝陽さんもそういうの参加したりするんですか?」

「いやー、私はちょっと前まで未成年でしたからねー。まだまだ小娘扱いでそういう場には誘われないですよ。それに」


 一度そこで言葉を切り、彼女は車のエンジンをかける。


「お父さんも居る場で酔い潰れるのは流石にちょっと。今朝気付きませんでしたか?うちの父も同じ会合に参加してたので、酷い二日酔いだったんですよ」


 何て事はない。

 彼女は朝の時点でこの展開を予想していたのかもしれない。



   2



 兵藤さんの工房を出て向かった先は町役場だ。しかし目的は役場ではなく併設されている町立図書館にある。僕らはそこの図書館長に会いに来た。


 名前は知野見博士。近年新設されたという町で初めての図書館の立ち上げに尽力した人物であり、その取り組みは内外から評価されているようだ。兵藤さんや朝陽さんからは本名の「ひろし」を読み変えた「ハカセ」というあだ名で呼ばれているらしい。きっと親しみやすい人柄なのだろう。急な予定変更にも応じてくれて、こちらとしても頭が下がる思いだ。


「ハカセさんは万が一にも二日酔いなんて事はないから大丈夫ですよ」


 役場の駐車場に車を停め、朝陽さんに案内され図書館へと向かう。入り口で中から駆け出してくる子供たちとぶつかりそうになった。


「図書館では走っちゃダメですよ」


 室内からのんびりとした声が子供達に注意を促した。子供達は笑いながら「ごめんなさーい」と明るく走り去った。

 そのまま進むと入り口直ぐのカウンターで人の良さそうな丸めがねの青年がこちらを向いていた。子供達を見送ると僕たちに視線を合わせる。


「こんにちはハカセさん」

「はい、こんにちは朝陽さん。お待ちしていました。奥へどうぞ」


 若い図書館長はカウンターから出て、司書室と書かれたドアを開ける。

 部屋の中は一見普通の事務室と変わらないが、よく見ると予約本を管理している書架や、新しく入った蔵書をラミネート加工するための道具が置いてある。大きめのカッターマットやテープなどは本の補修用だろうか。


「本日は急な訪問にも関わらずありがとうございました。私が今回取材させて頂く星野です」

「図書館長の知野見です。いやぁ、災難でしたね。兵藤さんも困った人です」


 そう言いながら優しそうな眉を八の字にしながら苦笑する。兵藤に対して特に悪い感情は持っていないようだ。こういう事態に慣れているのかもしれない。

 僕とハカセ館長は形式的に名詞を交換して簡単な自己紹介を済ませた。


「それじゃハカセさん、取材受けてる間は私がカウンターやっておきますから。星野さんにじっくりお話聞かせてあげてください」


 気安くそう請け負うと朝陽さんは司書室から出ていった。僕は館長が勧めてくれた椅子に座り、鞄の中からボイスレコーダー等の取材道具を机に並べていく。

 その間に館長は備え付けの小さな給湯室でお茶を淹れてくれた。


「どうぞ。このお茶は町の特産品なんですよ」


 お礼を言って有り難く喉に流し込む。今まで気付かなかったが、初めての取材で思ったよりも緊張していたのか喉が乾いていた。


 熱過ぎない丁度良い温度とお茶の良い香りが、渇きだけでなく緊張もほぐしてくれるようだ。彼の柔和な表情も僕をリラックスさせてくれた。


「それではそろそろ始めてもよろしいでしょうか」

「お手柔らかにお願いします。こういうのはあまり得意では無いので」


 取材は順調に進んでいった。いくつか基本的な事柄を質問させてもらい、雑談を挟みつつ暗記してきた記事のキーになる質問をしていく。

 この企画は、取材を通じて町での暮らしを掘り下げるのが目的なので、自然とその人となりにもスポットを当てる事になる。


「知野見館長も子供の頃から本が好きだったのでしょうね」

「ええもちろん。友達がサッカーボールを追いかけている時間に、一人で本を呼んでいるような子供でした。当時こんな図書館は無かったので、学校の図書室に入り浸っていました」

「それじゃあ図書館の仕事は夢が叶ったようなものなのでは」

「夢、と言われると弱ってしまいますね。私が今ここに居るのはたまたまですから」


 再び眉を八の字にして謙遜する。そのままの表情で彼は話を聞かせてくれた。


「私が大学を卒業して就職したのはある大手出版社でした。子供の頃から好きだった本の仕事に就きたくて必死に就職活動をしたんです。本当に運良く採用が決まったところまでは良かったのですが、最初に配属されたのが営業部でして。元々社交的とは言えない性格でしたから仕事が肌に合わず、精神科にお世話になってしまいました。心が弱るとあそこまで身体に影響が出るなんて自分でも驚きました」


 笑顔を交えながらあくまで穏やかに話す様子に、僕はどんな顔を作ればいいのかわからなかった。


 安易に「わかります」なんて言えない。僕の場合は心の前に身体がダメになった経験があるだけだ。心の傷がどんなものか、それは経験者にしか、いや、本人にしかわからないだろう。


 まあ身体を壊した僕の心が無事なのかどうかは、今でもよくわからないけれど。


「そういうわけで出版社は辞めてしまいました。まずはゆっくり静養して心身を治すようにと、両親にも叱られたので仕方ありません。そしてあっという間に一年が経ちました。僕は通院もやめていたのに、就職もせず大好きな本を読みふける日々を送りました。働かなくても良い免罪符を盾にして理想の暮らしを謳歌したんです。あれはあれで幸せな時間でした」


 懐かしそうに呟く様は、悪気無くただただ残念そうな響きを伴っていた。


「当然そんな日々は長続きせず両親にばれました。働かないなら帰ってこいと、ここへ連れ戻されてしまいました。どうせ引きこもるなら実家でも同じだろうという訳です」


 まあ、実際同じでしたねぇと館長が笑う。


「こっちに連れ戻されてからしばらくは、父の会社でアルバイトという形で働いていました。しかし仕事にも慣れ、正社員にならないかと打診されていた頃に、役場の中でこの図書館の開設計画が立ち上がりました」


 前年に当選した新町長肝入りのプロジェクトだったらしい。


 『未来に知のバトンを』


 そんなスローガンを掲げ、町の文化拠点として開かれた図書館を作るという方向性が決まっていたそうだ。

 しかし開設は決まっているものの、肝心の選書や図書館業務のノウハウを持っているものが役所には居なかった。これまで町に図書館は無かったので頼れる相手が見つからない。


 役場職員は既にある仕事だけで手一杯であり、図書館開設は他の業務の片手間で出来る仕事ではなかった。


 外部のプロを雇うという手段もあるにはあったが、呼び寄せるとなれば相当な金額が必要だ。それは予算的に最後の手段にしたい。そういう理由でまずは町民に臨時職員募集の形で有志を募る事になったらしい。


「その募集を目にして、私は一も二もなく応募しました。島では無理だと諦めていた本に関わる仕事が突如目の前に現れたのですから」


 大学で司書資格も取得しており元大手出版社勤務、当時はアルバイトのみで定職に就いておらず直ぐに動けるという状況だった館長は、無事に雇われる事が決定した。


 役場側としてもここまで最適な人材が来たのは暁光だったに違いない。

 臨時職員ではあっても誰より本に精通していた彼は、そのまま図書館開設の中心的な存在となっていったそうだ。


「いやぁ最初は本当に大変でした。何せ専任職員は私ひとりでしたし、参加した時点でもう施設の建設は始まっていて、開設日も決められていましたから」

「ほとんど一人で準備されたんですか?」

「いえ、結局たくさんの方々に助けて頂きました。最初は気負いもあって何とか一人でやろうとしたんですが、しかしある出来事をきっかけに気付いたんです。私がやるべき事は、立派な図書館を作る事じゃない。町民と図書館を作る事だと」

「どんな出来事だったんですか?」


 良い話が聞けそうな手応えを感じて、僕の姿勢も前のめりになる。


「町長が小学校で行った講演会がきっかけでした」


 館長は遠くを見るような眼差しで司書室の小さな窓から空を見上げた。

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