デラックスな悪魔

ALT・オイラにソース・Aksya

デラックスな悪魔

私は悪魔。人間の願いを三つ叶える代わりに、死後魂を奪う悪魔だ。しかし、そこら辺の三流と一緒にして貰っては困る。私はデラックスな悪魔なのだ。さて、今日も仕事に出かけるとしよう。


悪魔の一日は、まず獲物探しから始まる。悩みや欲望、怒りや悲しみといった人間の負の感情を探るのだ。しかし私はデラックスな悪魔。この魂を千個集めて交換したレーダーを使えば、わざわざ飛び回って探す必要はないのだ。


適当な獲物を見つけたら、そいつが一人の時に近づき姿を見せる。

ここで大切なのが、獲物に逃げ出されたりしないようにすることだ。

私の姿を見た人間は恐怖で顔が歪み、今にも叫んで逃げ出しそうである。しかし私はデラックスな悪魔。この魂を二百個集めて交換したライトを当てれば、どんな人間も一瞬で冷静になる。


次は取引だ。

私は、願いを三つ叶える代わりに死後魂を貰うと人間に言った。しかし無限に関する願いはなしだとも伝えた。三流の悪魔はここですぐに取引をしようとする。しかし私はデラックスな悪魔。この魂を八百個集めて交換した液晶ディスプレイには人間の考えていることが映し出される。これで願いを予想するのだ。


人間はあれこれ悩んでいたが、どんな人間にも言うことを聞かせられるようにしてくれと言った。しかし私はデラックスな悪魔。この魂を百個集めて交換した本には無限に関する願いの規則が事細かに記載されている。私は、どんな人間にもでは無限になってしまうからダメだと言った。すると人間は、なら百人で良いと言った。私は別に問題はなかろうと判断した。また、この願いでは破滅させ魂を奪うことは出来ないとも判断した。私はその願いを叶えた。


人間は試しに近くの人間にその能力を使った。私が与えた力はその人間を操った。人間は喜び、また私を信用した。液晶ディスプレイには人間が次は知識を求めていることを示していた。人間は、次は俺の知っている全ての存在の殺し方を教えてくれと言った。私は、この願いでも破滅させることは出来ないと判断し、願いを叶えた。つまり人間の脳に直接情報を送ったのだ。どんな情報が送られたのかは、デラックスな悪魔の私といえど分からない。しかし人間は大層喜んでいた。


私は人間に三つ目の願いを聞いた。人間は、では俺が今頭の中で想像している物をくれと言った。私は液晶ディスプレイで人間の思考を読もうとしたが、なんと液晶ディスプレイには何も映っていなかった。私は憤慨した。デラックスな悪魔である私に不良品を渡すとは、なんというやつなのだ。帰ったらクレームを入れてやろうと思いながら、私は願いを叶えた。


三つの願いを叶えたので、後は殺して魂を奪おうという時、人間はどこからか出した拳銃を私に向けた。デラックスな悪魔である私には、その拳銃が魂二千個で交換できる悪魔殺しの拳銃であることが分かった。アッと思う間に人間は撃った。そして悪魔殺しの銃弾は、デラックスな悪魔である私を貫いた。


しかし私はデラックスな悪魔。この魂一万個で交換した義体で仕事に出かけていたため、無事だった。万が一の事態に備えていた自分の頭脳を私は褒めてやる。当然だ。この魂三万個で交換したデラックスな脳は私をデラックスな悪魔にした。今日もデラックスな悪魔である私は、デラックスな自室で、デラックスな義体を操り、デラックスに仕事をして魂を集め、デラックスな日々を過ごしている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

デラックスな悪魔 ALT・オイラにソース・Aksya @ALToiranisauceAksya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ