現代の娼婦

バブみ道日丿宮組

お題:高い娼婦 制限時間:15分

現代の娼婦

 人の形を捨てれば、人は生きられる。

「……」

 この場所にやってきたのは、そんな1人、いや1パーツを求めてだった。

 いくつかある娼館の中に生きたものは存在しない。

 素材である口、耳、ヘソ、膣、肛門、胸、眼など。それらがガラスケースに入れられており、これを自分で利用して天国を得るのが基本だ。

 もちろん、それらを持ち帰ることはできず、店内のベッドを利用しなくてはならない。

「……これがいいな」

 裏の裏、表の表、そんな場所にレア度の高いものは売ってない。マンホールの下であったり、電柱の上であったり、様々なところに商品が隠されてるのだ。

 これらはどれも元は高貴なものや、アイドルであったものが素材となってる。だからこそ、高い娼婦といえるだろう。

 ニュースでアイドルや、芸能人が失踪する原因の1つが娼婦問題。売上のために誘拐するということだ。国が対応してないということは当然なく、見つかれば極刑ものの罪に囚われる。それは購入したものも同じだ。

 自己責任、その言葉に尽きる。

「……まぁ普通はそうだ。おい、つけてみろ」

「はい」

 後ろについていた従者に拾ったパーツを手渡すと、下着を脱ぎ、股間へと装着する。

「違和感はないか?」

「ありません。完璧な採寸であります」

 当然であろう。

 娼婦に合うように穴を調整したのだ。あってくれなきゃ困る。

「あとはヘソか?」

「はい、既に肛門、耳、眼、口、胸は購入済みです」

 パチパチと瞬きする従者は人であって、人でない。かつて人であったものからパーツを抜かれたものだ。それを市場で購入して、従者にした。

 廃棄処分扱いの人体は安かった。行為に使えない部分はいらない。そういう扱いのため、くり抜かれた人体がよく裏の市場にはならぶ。これも元がアイドルであったりするため、当たり、ハズレが結構あるが俺が買ったのは市場で一番高かったもの。いわゆる調教済みのものであった。

「ヘソは確か店内のワインセラーであったかな」

 記憶をたどる。

 前に来たときは、確か馴染み深い店のワインセラーのなかであった。今回はどうであろう?

「探すのもまた楽しみか」

 知人がそんなことを言ってた気がする。

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現代の娼婦 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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