遺伝のない娘

バブみ道日丿宮組

お題:汚い恋愛 制限時間:15分

遺伝のない娘

 前回のあらすじ。


 恋人が謎の妊娠をして、降ろさせようと病院にいくとお腹には誰もいないという……。対処仕様にもなにもないということに病院は対処できず、二人を家に帰された。

 しかしながら、出産は行われた。

 確かにお腹の中から、赤ん坊が出てきたのだった。


 今回の話。


 お腹にいないはずの子どもが生まれてしまい家族となったものたちの語り。

 ちなみに生まれた子どもの遺伝子は父、母のものはなく、そして人間のものとも違った。その事実を知ってるのは病院の一部と、自分たちのみ。もしもこれが政府や怪しい団体にバレてしまったらと両親たちは毎日心配してる。

 子どもはといえば、すくすくと育ち、そろそろ思春期も終わるという頃。

 特殊な生まれ方をした子どもは、やはり特殊な生き方をするもので……。


「また男の子ひっかけてきたの?」

「……違う。へんなふうに触ってきたから、調教しただけ」

 乱れた娘のを制服を正しながら、

「ちゃんとした恋愛をしなきゃダメだからね」

 娘に向き合う母。

「お父さんとお母さんみたいに?」

 娘の純情な瞳を思わずそらしながら、

「どうだったかなぁ」

「愛してないの?」

「そんなことないよ。あなたと一緒でお父さんもずっと愛してるよ」

 そうなんだと、玄関からリビングへ移動する二人。

「今度男子とプールに行くことになったんだ」

「それはちゃんとしたところ?」

 娘は頭を傾げる。

「大丈夫だと思う。毎分除菌する凄い装置が動いてるって」

 そうだと、カバンの中からチラシを取り出し母に渡す。

「隣街ね。それはお母さんついていかなくて大丈夫?」

「平気。男子と一緒に着替えるから」

「それはダメよ」

 娘の両肩を掴み、むはっーと鼻息をあらげる。

「きちんと女の子用の着替え室で着替えてね」

「そうなの?」

 娘は男と女の違いをあまり意識しない。

 だからこそ、触らせたりといった下処理に使われることもある。そんな状態になっても、娘は怖がることも、嫌がることも、喜ぶこともない。

 だからこそ、不気味がって一部の男子としか付き合いがなかった。

 それがまともな人ならいいのだが、序盤に記した通り、娘に手を出す輩であり、また違った知識を植え付けるいけないやつでもあった。

「そうだの。ほら、お風呂入ってきなさい」

 わかったと娘は着替えも持たずにお風呂へといってしまう。

 そんな様子にため息を漏らす母。

 今でも父や母とお風呂に入ることもある娘は、身の回りが大分ずさんなことが多い。

 そんな娘が世間様に迷惑をかけないだろうか、正体がばれないだろうかと、苦悩する。


 これはそんな娘を持った二人の両親の物語。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

遺伝のない娘 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る