第9話 気配
◇◇◇
どこから来る……後ろだ。
振り向くともう向かってきてた。俺は足に力を込めて足に炎をまとわせる。そしてタイミングをうまく合わせて蹴る。少しはダメージが入ったと思う。お互いに後ろに飛んで距離を取る。
足の炎はまだ消えてない。まだ行ける。
当たった感触としては、結構強い感じがした。
怪物はまた向かってくる。
二撃目、三撃目も決める。タイミングがピッタリあったから、相手からの攻撃も吸収出来た。
ただ四撃目は違った。さすがに学習したようで、避けられた。そして後ろから殴られた。結構痛い。でもこんなんでひるんでられない。
「まだまだ」
五撃目、右足は避けられた。でもまだ左足がある。左足で決めた。さすがに威力は下がったけど決められないよりマシ。連撃で後ろから右足でも決める。そしてその怪物を倒した。
今のは恐らく自殺した人の霊からできた怪物だろう。なにか心残りがあるだろうけどさらに人を殺されてしまっては困る。だから倒す。前までの俺とは違う。もう迷わないし、躊躇もしない。決められた運命でもしっかり生きてやる。
さっきの怪物がいなくなって、さらに大きい(強い)怪物の気配を感じた。今まで感じたことないくらい強い気配。
怪物の姿を確認した。そのころには向かってきていた。
速い。
何とか避けられたが、すごく強い風が吹き抜けた。
続けて今度は電気の塊らしきものを発射してきた。避けるので精一杯。近づくなんて無理。でも近づかないと攻撃できない。どうしたらいいんだ……
とりあえず後ろをよく見て避けて逃げる。全部避けきれない、一発蹴って打ち返した。撃ち返せたけど、足がもげそうだった。打ち返すのは無理なのか…
とりあえず逃げる。逃げるしかできない。どうしたらいいのかわかんない。ここが広くて上下もあるのがまだよかった。
たぶん別館に入る。建物の雰囲気が変わった感じがした。
「頭下げろ!」
とっさにかがんだ。
俺の上を電撃が通った。その電撃は怪物にヒットする。悠楽が放ったものだった。
「ありがと」
「近づくのは厳しい感じ?」
「うん」
「わかった」
そして悠楽はまず水の龍を放った。怪物は反応出来ずにあたってしまう。次にさっきと同じ電撃。電撃というか雷くらいの迫力。その雷もヒットする。そして最後に剣で怪物を刺す。怪物は散って行った。
「すごい……」
俺は無意識にそう言った。
「こんぐらいはできないとさ、Bランクだし、俺」
あ、そっか、怪襲の時行ってたっけ、悠楽。
「ねえ、ずっと思ってたんだけど、そのランクってなんなの?」
「簡単に言うと魔術師の強さの指標で、ほとんどがC。SからDまである」
「へぇ……俺はDかなぁ……」
「学生証に書いてあるよ。学生証の星の数5が最高で1が最低」
俺は学生証を見てみた。星は1個だった。
「年度末にテストあるからそれ受ければ上がるよ。あ、今年卒業だから強制だ」
「テストかぁ……」
「テストって言ったって、そんな難しくないよ。じゃあ、夏向探しに行こう」
「うん」
本館の端に俺たちは向かった。
夏向は倒れていた。
「夏向、大丈夫か……?」
夏向の息が荒かった。
「毒か、
「毒……?」
「うん。毒を使う怪物もいるし、魔術師も使う。桜愛とか」
「解けるの?」
「できるよ、毒の技が使えれば」
そう言って悠楽は夏向に手を当てた。
「解毒」
そう言うと夏向の顔が楽になった気がした。
「……ありがとう、悠楽」
「歩けそう?」
「肩、貸して」
「わかった」
二人がかりで支えて何とか出口までたどり着いた。
すると扉が急に開いてライトで照らされた。
「誰かいるのか?」
そう呼びかけられた。
「子供がこんなとこで何してんだ」
「えっと……」
悠楽が学生証を見せた。警察の人だった。
「あ、そういうことか、ごめんごめん」
その後、警察の人が学校まで送ってってくれた。
今日のは今までで一番大きな案件だったと思う。
夏向はちゃんと回復するらしい。よかった。
悠莉や快音くんもすごいけど悠楽もすごかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます