第7話 集会

 数日後

 あの一件から表校舎と裏校舎は完全に分かれた。


 そして今日は裏校舎の人が全員集まって会議的なものをするらしい。あの一件で決まったものではなく、毎年年度初めにやっているものだそうだ。


 裏校舎の教室に集まった。全員で18人。


 まず自己紹介をした。

 高等部3年・・・なぎさ星叶せいと七草ななくさ日向多ひなた

 高等部2年・・・紫雲しうん知樹ともき詩野うたの心温こはる

 高等部1年・・・皐月さつき夏唯かい上条かみじょう碧人あおと五宮いつみや翔音かのん

 中等部2年・・・杠葉ゆずりは聖響いぶき

 中等部1年・・・夜桜よざくら七瀬ななせ

 初等部6年・・・文月ふづき唯翔ゆいと

 初等部5年・・・星野ほしの春瑠はる

 初等部4年・・・新谷あらたに立樹りつき

 初等部3年・・・香月かづき桃羽ももは

 あと中3の5人

 男女比13対5 圧倒的男子率。


「まず数日前の一件についてだけど」


 渚先輩が話し始めた。


「あれはしょうがないと思う。人の命を守るためにバレるのはしょうがない」

「俺もそう思う」


 七草先輩もそれに賛同する。


「なんか…ごめん。励ましてもらっちゃって」


 悠楽がそう言う。


「そんな気にすんなってことだよ、悠楽」


 結構先輩たちとも仲いいみたいだ。


「上層部ってどう思ってんのかな、このこと」


 夏向がそう聞いた。全員が悠莉のことを見た。


「え? あ、俺? まあ、予測してたことが起きた。あと、場合によっては大阪に一本化するとか、そういう話にもなるかもしれない」

「え……」


 全員同じような反応をした気がした。

 俺は隣にいた桜愛にひっそり聞いた。


「大阪って、何のことなの?」

「ここが東京本校で大阪に分校があるの。大阪のほうに結構名家の後継ぎとかの人が集まってて、こっちはそういうのが嫌いな人とかも多いからさ……」

「あー…ありがとう」


 そういう感じか、みんな色々あるんだな……


「まあ、可能性だし、やるには色々手続きとか大変だからないと思うけどな」


 悠莉が後付けでそう言う。


「そうだと思いたい」


 そう言ったのは皐月先輩だった。



 表校舎にはあんま近づかないようにして、裏口から出入りするって感じで、警戒もしておく、という結論になった。



「今年の学校選がっこうせんどうなるかなぁ」

「中等部は勝てるでしょ、確実に」


 高等部の人がそう話していた。


最恐さいきょうの魔術師がいるもんな」

「別に俺がいるからって勝てる訳じゃない。1年の時みたいになったら、厳しくなると思う」


 悠莉がそう言った。最恐の魔術師って悠莉のことなのか。

 俺はまた桜愛にひっそり聞いた。


「学校選って何?」

「大阪校と戦う模擬試合みたいなやつ」

「交流会みたいな?」

「そんな感じ。戦力も人数も大阪校の方が大きいから毎回結構厳しいんだよね。まあ、私たちの学年は悠莉くんがいるから負けなしだけどね」

「へぇ……」


 そんなすごいんだな、悠莉って……


「他の学年も強いんだけどね。大阪校の戦力もすごいからさ」


 後継ぎとかの人が集まってるならそうだよなぁ……


「交流会っていっても何すんの? 戦うの?」

「戦うっていうか、相手を妨害しながら、妨害をよけながら、中等部以上は5体いる怪物を倒す。最終的に多くの怪物を倒せた方が勝ち。各学部戦と総合戦があって、総合戦はちょっと違う」

「へぇ……」

「さっきからへぇ……しか言ってないじゃん」

「ごめんごめん。別に興味ないって訳じゃないから……」

「ふーん……」


 桜愛、意外と怖い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る