第4話 魔術学園東京本校
3年生の教室に入る。今いるのが、4人。
近づいてくる子がいた。茶髪でワイシャツに黄緑のパーカーの男の子。
「悠莉、おはよ」
「おはよ」
「転入生?」
「うん」
「俺、
「あ、風晴凛空です。よろしく」
そこに誰かが入ってきた。
悠莉に似てると言えば似てる。悠莉が黒いのに対して白い。髪は白くてワイシャツに白いニット。ズボンは夏向と同じ。
「間に合った……悠莉、夏向、あと…転入生か。よろしく。俺、
「あ、朝吹……?」
「悠楽は俺の双子の兄ちゃん」
「ふ、双子!?」
「おはよぉー」
今度は女の子だ。紫がかった白い髪。ワイシャツに紫チェックのスカート。今どきの女の子って感じ。
「おはよー」
3人一斉に返した。
「君、転入生くん?私、
「よ、よろしく」
なんか、変な視線を感じた。振り向くと3人がこっちを見ていた。
「凛空くん。あんま気にしない方がいいよ」
そう言ったのは悠楽だった。夏向が続ける。
「左から
「あ、うん」
そして先生が入ってきた。
「おはようございます。今日は全員出席。あと、転入生の風晴凛空くん。よろしくね。じゃあ、今日もやっていきましょう。何かあったら呼んで下さい」
そして俺、悠莉、悠楽、夏向、桜愛は隣の部屋に移動した。この学年が特に表校舎と裏校舎の仲が悪いから、別室を用意してくれたのだという。
そして主に悠楽、夏向から、ここのことをいろいろ聞いた。
「ここは、簡単に言うと国がやってる凄い頭のいい人の学校。制服は決まったのもあるけど着るのは自由だしみんなアレンジしてる」
「元々魔術師の育成のために作られたけど、秘密にしないといけないからこういう形になった。授業は特にないけど、教科書が配られて、自分で勉強する。わからないところは教えてもらえるし、特に苦労はないかな。そのうち慣れるよ」
そして校舎をいろいろ案内してもらった。
昼休み 裏校舎のどこかの教室
午後のことについて色々教えてくれた。
午後は魔術の練習をする。そんな難しいことではなく、結構自由にやっているらしい。
午後の時間 裏側のグラウンド
中三組が集まっていた。そこへ、
「みんな揃ってんなぁ……」
あの時の人だ、確か名前は……
「転入生くん。久しぶりだね。名前、言ってなかったね。俺は、」
「鳴宮……快音……」
「なんだ。悠莉から聞いてたか。一応、ここで魔術の方色々見てる。まあ、みんなほとんど頼ってくれないけど。よろしくね」
「は、はい」
「全然頼ってくれていいからね」
「俺、魔術とか全く知らないのでお願いします」
「任せとけ!」
「大丈夫か? 快音w」
「は? 俺だってもう大人だぞ! Sランクも取ってるし」
「え、Sランク⁉」
めっちゃ強いってことだろ…それにそんな人とタメ口で話してる悠莉って本当に何者…?
「今日中三組なにすんの?」
鳴宮さんが聞いた。
「いつもの感じでやる」
俺はどうしたら?
「凛空。君は見ておくといい。この学年は他の学年より強い」
「は、はい」
Sランクの人が言うんだ。すごいんだな…
◇◇◇
【模擬対決一戦目 伊桜夏向vs朝吹悠楽】
「何で、俺なの?悠楽」
「いつも悠莉とじゃつまんないじゃん。負けちゃうし」
「そっか。そういうことなら全力で行くよ」
「おう。こいよ」
悠楽がそう言い終わると、夏向の手に剣があった。その剣には花とか蔓みたいな装飾がしてあった。対抗するように悠楽も剣を出した。こっちは黒かった。
「夏向のほうが
鳴宮さんがそう言った。
お互いに正面からぶつかった。大きな衝撃音が発生し、強風が吹いた。こんなのアニメとか漫画の世界だけだと思ってた。
夏向が笑みを浮かべた気がする。明らかにさっきとは雰囲気が変わった。
「空間創造、グラスステージ」
夏向を中心に草原が広がった。そしてその中に引き込まれた悠楽の足に蔓が巻き付いて動けなくなった。でも悠楽は平気そうな顔をしていた。今度は悠楽が笑みを浮かべた。
「こんなんで俺は止められないよ」
巻き付いていた蔓が無くなった。
「さすが悠楽」
剣の使い方が凄い。どちらも本当に命かけてるみたいに必死で、全体的に速い。剣の動きはかろうじて見えるがすごい速い。
一旦攻撃が止んだ。どちらも息が上がってる。
「そこまで」
鳴宮さんが戦いを止めた。二人の手から剣が消えた。
「やっぱ悠楽は強いなぁ……」
「夏向も強い。空間創造にはびっくりした」
「初めてちゃんと使えた。ありがとう」
二人は握手を交わした。
◇◇◇
【模擬対決二戦目 朝吹悠莉vs愛野桜愛】
「悠莉くん、本気出さないでよね! 私は本気で行くけど!」
「あ、ああ。わかった」
桜愛が剣を出した。みんな剣がつかえて、使うときに出せるみたいだ。
戦いが始まると桜愛の女の子のかわいい感じも、悠莉のひっそり感も無くなった。
「……止まれ!」
桜愛がそう言うと悠莉の動きが止まった。そこに剣で切り込む。悠莉は剣はかわせたが、剣から出た何かに足が当たったみたいだ。
「あれは
鳴宮さんがそう言った。
「わざと当たったの? 悠莉くん」
「判断は想像に任せるよ」
その後悠莉は桜愛の攻撃を全てかわした。
「ファルコン」
悠莉がそう呟いた。すると悠莉の足元から何かがすごい速度で飛び出した。
「降下」
そう呟くとさっき飛び出した何か。ファルコンから推測するに、
「ヤバい……」
桜愛の剣の光が無くなった。ファルコンが桜愛の頭に桜の冠を載せた。
「かわいい~ ありがとう! 悠莉くん!」
「はい。そこまで」
さっきと同じように鳴宮さんが止めた。
「よくやった。ファルコン」
そして悠莉は自分の指をファルコンに
「ホラーかよ……」
俺がそう呟くと、鳴宮さんが、
「悠莉、食わせるのはあとにしろ、凛空怖がってるから」
「あ、ごめん。ファルコン、後でちゃんとあげるから。今は……」
「クルルゥ」
ファルコンは消えていった。
「じゃあ今日はこの辺までにして、ランク別のとこ移動で。」
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