4、貴方は良い旦那さんになるわよきっと

栗谷御幸という女の子。

俺とキスを交わして俺に告白したという女の子らしい。

それも小学生の時に、だ。

そして栗谷は心から俺を好いているらしい。

俺は真っ赤になりながら.....栗谷のその美人な横顔を見る。


「どうしたの?はーくん」


「.....正直言って俺はお前とキスをした事が信じられない。.....でも事実なんだな.....」


「私は君が好きだったから。.....嬉しいから。私」


「.....そうか」


だからね。

いつか私をまた好きになるよ。

と栗谷は笑顔を浮かべる。


というか振り向かせてみせるよ、と栗谷は決意する。

俺はその姿に赤くなる。

と同時に.....過去を思い出す。


「でもな。俺は.....幸せになれないよ。栗谷。やっぱり」


「.....そうかな。.....でも絶対に違うから。私がはーくんを幸せにするんだから。関係無いよそんなの」


「.....お前が?」


「そうだよ。過去なんて忘れさせるぐらいにね。あ。私の過去は思い出してほしいけど。.....お父さんの過去は忘れさせてあげるからね」


「.....お前本当に良い子だよな。栗谷」


私は心からはーくんを好いているだけ。

これからも今もずっとはーくんを好いているだけ。

と栗谷は笑顔を浮かべる。


俺は言葉に羞恥な感じに染まる。

何で俺なんかを好いてくれるのだろう。

と思ってしまう。

俺は屑だと思うし、だ。

今も昔もずっと、である。


「.....散々人を傷付けた俺にはまだチャンスがあるかな」


「.....あるよ。絶対に。だって私が一緒なんだからね」


「.....そうか。有難うな。栗谷」


「.....うん」


そして俺達は勉強を真面目にする。

何だかそれが.....とても幸せに感じる。

俺は.....思いながら栗谷を見る。

栗谷と一緒が.....楽しいのか?俺は。

そう考えてしまう。


「.....栗谷」


「何。はーくん?」


「.....本当に感謝だよ。有難うな」


「何を感謝されるの?私。.....何だか変なはーくん」


「.....全てに感謝だ」


俺は笑みを浮かべてから柔和になる。

それから俺は栗谷と楽しい時間を過ごした。

そして.....俺は栗谷を見送ってから。

俺は.....家の家事をした。



母さんが帰って来てから俺は母さんに、昔から会っている(キスの事は隠した)事を話すと母さんは嬉しそうに聞いてくれた。

俺はその姿にまた笑みを浮かべながら.....夕食を食べる。

因みに母さんと一緒に夕食を食べる事が日常なのだ。


「それで?栗谷さんは好きなの?」


「.....俺は.....まだ気持ちが不安定だよ。.....母さん」


「あらあら。まだまだ青春ね。アハハ」


「.....そうだね。でも俺の胸の中に有るのは青春じゃ無いよ。母さん」


「そうね。.....でも栗谷さんはきっと貴方の気持ちを素直に受け止めてくれる女の子よ。きっとね。だから例え貴方の言う青春じゃなくても.....栗谷さんを優しく見守って.....仲良くしてあげて」


俺はその言葉に頷く。

それから.....真剣な顔で母さんに向いた。

そして笑みを浮かべる。

どっちにせよクラスメイトで幼馴染だからね。

俺の、と答えた。


「だからどうなっても栗谷を大切に思うよ」


「.....流石は私の息子ねぇ。.....あの屑は.....何も分からなかったけど」


「.....そうだね。でも母さん。あの男の事は思い出さなくても良いと思うよ。俺は.....考えたくない」


「.....そうね。貴方は貴方だもんね。御免なさいね。.....あの男の事を忘れられなくて。とても傷が深いわ」


「.....母さん.....」


馬鹿ね私も本当に。

と眉を顰めて唇を噛む母さん。

それから.....悲しげな顔をする。


そして俺を苦笑気味に見てくる。

そうしてから俺の頭を撫でてきた。

子供の様に、だ。


「貴方はもう立派な大人ね。本当に.....何度でも言うけど良い子に育ったわ」


「.....そうなのかな。俺」


「そうよ。誇りに思いなさい。.....貴方は良い旦那さんになるわ。きっとね」


「いやいやまだ早いって母さん」


「.....早く無いわよ。.....貴方はもう仮にも16歳を超えているのよ。.....早いとは思って無いわ」


そうかな。

大人なのかな俺は。

先ず最初に大人って何だろうな。


考えながら俺は.....溜息を吐く。

大人.....か。

全てを考えても大人が未だに何なのか分からない。


俺が馬鹿なのだろうか。

思いながら俺は.....天井を見上げた。

それから母さんを見る。


「.....母さん。有難う。俺を.....この世界に産んでくれて」


「.....!」


「.....俺は幸せだ。今がね」


「.....そうなのね。有難う。そう言ってくれて.....本当に嬉しいわ」


母さんは涙を浮かべる。

そして俺は母さんと抱き合った。

それから.....互いに笑みを浮かべる。

今がきっと俺は幸せなんだと思う。

考えながら母さんの手を握った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

先輩、私の事を振りましたね?後悔しますよ♪  〜SP〜 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ