最終話 君に会いに行くよ

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


あの猫と話をしていると、ふと思うんだ…

僕はいったい誰なのか…

全く覚えていない…


朝6時30分

通学・通勤の人たちはまだ来ていない。


りんちゃんが僕の前に立っていた。

僕はいつものことだと思い後ろを振り向くとそこには誰もいなかった。

りんちゃんの視線の先には僕しかいなかった。


「君がいつも助けてくれていたんだよね?」


僕の鼓動が跳ねる…

そんなはずはないと辺りを見回した…。そこには僕しかいなかった。


「君だよ君。君の事だよ?」

「僕が見えるの?」


僕が驚いてそうつぶやくと、りんちゃんは笑顔で頷いた。


「いつから見えてたの?」

「いつからだろう?気が付いたらわかったよ。≪斗真君≫。」


僕は涙を浮かべた…。


「だから、待っててね。病室で。」


僕は涙を流した…。


「君に会いに行くよ。」


僕の意識はそのまま消えていった。


目が覚めたら、そこは病室だった。

意識を取り戻して、両親は大いに喜んでくれた。

僕は小学校6年生の時、あのホームで転落事故にあったんだ。

そしてそのまま意識不明のまま、病院で眠っていたらしい。


数日後、病室で寝ているとドアが開いた。


「会いにいたよ。」


そこには幼馴染のりんちゃんが立っていた。


「やっと会えた。」


僕はまた涙した。


そして僕はまた君に恋をした。


「やっといえる。大好きだよりんちゃん。」

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