空を見上げれば一輪の花
僕は、駅のホームのベンチに座っていた。
特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。
夜6時30分
隣の駅の近くの花火大会のため、沢山の人がホームにやってくる。
皆思い思いの格好で電車に乗り込んでいった。
その中にりんちゃんもいた。
りんちゃんは風鈴柄の淡い水色の浴衣を着て歩いていた。
とてもよく似合っていて、普段よりも大人びて見えた。
電車が発車してホームはとても静かになった。
しばらくすると、黒な空に色がさした。
始まったのかな?
ここからだとよく見えなかった。
しばらくすると空に大きな花が咲いた。
空はとても色鮮やかにまばゆく光り、そして黒に飲み込まれていった。
僕が見ることができたのは、その一輪の花だけだった。
それでも僕はうれしかった。
きっとこの花をりんちゃんも見ているんだと思ったから。
本当は一緒にみたかったなぁ。
僕は夜空を見上げて…
「た~まや~」
僕の声もまた空に飲み込まれていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます