はい、どうぞ。

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


朝7時10分

通学・通勤のため、沢山の人がホームにやってくる。


「はい、これどうぞ。」


りんちゃんたちの前に一人の少年が立っていた。

少年はりんちゃんに何かを手渡した。

りんちゃんは最初、何のことかよくわからなかったみたいだった。

少年の顔をよく見ると、この前手当てをしてあげた子だとわかった。

少年の少し後からお母さんがやってきて、一緒に頭を下げていた。


少年とお母さんがその場を去ると、りんちゃんは周りを見渡し少し照れ臭そうにしていた。


りんちゃんは受け取ったものを見つめていた。

それは少年が一生懸命書いた絵と賞状だった。

心のこもったプレゼントに、二人とも笑顔になっていた。


僕はそんな二人を見て少しだけ…少しだけうらやましく思えた。

僕にはもうできないことだから…


二人は到着した電車に乗って登校していった。


「行ってらっしゃいりんちゃん。」

僕はホームからりんちゃんを見送った。


今日もりんちゃんにとって、いい一日でありますように。

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