大切なもの

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


18時15分

駅に電車が到着した。


りんちゃんが電車を降りて、ホームの階段へ向かっていた。

すると、後ろからりんちゃんとは違う学校の制服に身を包んだ女の子に声を掛けられていた。


「やっほ~リン!!元気してた?」

「あ、しーちゃん久しぶり!!」


どうやら久しぶりに会ったお友達のようだ。

すごく親し気にいろいろお話しながら階段を上っていった。


ふと、二人の鞄を見ると、同じデザインのクマの手作り人形がぶら下がっていたんだ。


あ~、二人とも仲良しさんなんだね。

だって、その人形は少し色がくすんで、とこどころほつれたりしてるんだもの。

それでも二人ともつけているから。


なんだか、とてもうらやましかった。

僕にはないものだったから。

昔の僕はどうだったんだろう…


二人は改札から外に出ると、手を振って分かれていった。


僕はホームのベンチに座って空を見上げた。

そこにはきれいな星空が見えた。

とてもとても優しい月が輝いていた。


僕は一人…

いつも一人だ…

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