備えあればなんとやら?

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


朝7時10分

通学・通勤のため、沢山の人がホームにやってくる。


りんちゃんたちが電車を待つためにホームのベンチでお話をしていた。


少しすると、りんちゃんたちの前で小さな男の子が転んだんだ。

男の子は足を擦りむいたみたいで、泣いてしまった。


お友達は男の子をベンチに座らせてあやしていた。

りんちゃんは近くの水道でハンカチを濡らしてきて、傷口をそっと拭ってあげていた。


丁度ホームの階段から「トウマ君」と呼ばれていた男子高校生がおりてきた。

りんちゃんたちに気が付いた男子高校生は、おもむろに鞄から箱を取り出した。


それはかわいい絆創膏の箱だった。

「はいこれ。りんさんつかって?」


りんちゃんは受け取った絆創膏で、手当てをしてあげていた。

男の子は手当てが終わると、お礼を言って電車の昇降口へとむかった。


「ありがとうトウマ君。」

「備えあれば憂いなしだよりんさん。」


そういうと男子高校生も列に並びだしたんだ。

りんちゃんたちも到着ベルを聞いて列へと並んでいた。


男子高校生の鞄の中がちらっと見えたけど…

全部かわいらしい小物で統一されていた。


うん、備えあればなんとやら。

高い女子力がうかがえた。


「行ってらっしゃいりんちゃん。」

僕はホームからりんちゃんを見送った。


今日もりんちゃんにとって、いい一日でありますように。

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