僕ってそんなに…?

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


朝7時10分

通学・通勤のため、沢山の人がホームにやってくる。


りんちゃんたちは、次の電車を待つためベンチに座っていた。

二人は、こちらをちらちら見ながらおしゃべりをしていたんだ。


声が漏れ聞こえてきて、「あのひとかっこいいよね」とか「りんのたいぷじゃん」とか


気になってりんちゃんたちのほうを向くと、りんちゃんと目が合ったんだ。

りんちゃんはこっちに気が付くと、急に目を背けて下を向いてしまった…


僕ってそんなにりんちゃんのタイプだったの?

でも、僕って見えてないよね?よね?

もしかして見えてるの?


ふと、僕の横を見ると、20代のイケメンサラリーマンが小説を読んでいた。

うん…わかってはいたんだ…


お隣さんの読んでる本が気になってのぞいてみた。

そのタイトルを見ると「昼下がりの団地妻」…

官能小説だった…


知らぬが仏とはこのことか…


電車が到着しりんちゃんたちは登校していった。


「行ってらっしゃいりんちゃん。」

僕はホームからりんちゃんを見送った。


今日もりんちゃんにとって、いい一日でありますように。

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