なみだながるることもある

僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。


朝7時10分

通学・通勤のため、沢山の人がホームにやってくる。


今日のりんちゃんは、なんだか儚げだった。


ずっとうつむいていた…

列に並んでいるときも、時折鼻をすする音が聞こえる…


りんちゃん泣いてるの?

りんちゃんの瞳から涙の粒が零れ落ちていく。


お友達から「大丈夫?」って声を掛けられるけど、「大丈夫だよ」って頑張って笑顔で返してた…


りんちゃんの泣いてる姿は見たくない…


僕がりんちゃんを笑顔にしてあげたいのに…

僕にはそれができないんだ…

だって、姿が見えないから…


自分が地縛霊であることを本気で憎んだ。


りんちゃんはお友達に手を引かれ電車に乗り込んだ…

りんちゃんは席に座って顔を両手で覆っていた…


ずび~~~~~~~!!


どうやら花粉症だったらしい…


……

………。


「行ってらっしゃいりんちゃん。」

僕はホームからりんちゃんを見送った。


今日もりんちゃんにとって、いい一日でありますように。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る