僕は、駅のホームのベンチに座っていた。

特に何かするわけでもなく、ベンチに座っていた。

朝７時１０分

通学・通勤のため、沢山の人がホームにやってくる。

ホームの階段下でおばあちゃんがすこしとまどっていた。

よく見ると、手には大きな荷物と杖を持っていたんだ。

おばあちゃんは、ゆっくりと階段を上っていく。

そんな時、男子高校生が寝坊したのか焦って階段を駆け上がっていったんだ。

そしたら、途中おばあちゃんに軽く接触してしまったみたいで、おばあちゃんがよろけたんだ。

その男の子は接触したことに気が付いてなかったみたいで、そのまま階段を上っていってしまった。

おばあちゃんが転びそうになった時だった。

下から歩いていたりんちゃんとお友達が、そのおばあちゃんを支えてあげていたんだ。

お友達がおばあちゃんの荷物を持ち、りんちゃんがおばあちゃんの手を引いて、こっちのホームまで歩いてくる。

渡り切ったおばあちゃんは、二人にしきりに頭を下げていた。

りんちゃんたちは少し恥ずかしそうに「当たり前のことをしたのだから」と言ってそのまま自分たちも列に並んでいた。

ほんと、りんちゃんて優しい子だよね。

「行ってらっしゃいりんちゃん。」

僕はホームからりんちゃんを見送った。

今日もりんちゃんにとって、いい一日でありますように。

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