私だけのアリア 〜レオンハルト視点〜
アリアと共に過ごす為に一番重要なことは、『身分の差』だった。
私は『神聖イルティア自治国』の王太子で、アリアは『ヨークスカ』で暮らす平民。
通常であれば、とてもじゃないが関わり合うことが出来ないくらいの身分差だ。
しかし、それについては比較的簡単に解決できた。
何せ、彼女は『
その事によって、アリアは『女神様』から正式に『公爵位』を賜る事となった。
これで、私の
そして、アリアを貴族として教育するというもっともらしい理由を後付して『イルティア騎士貴族学園』に入学
アリアは『アーティナイ連邦自治国』の住民だったし、『女神様』に爵位を賜ったとは言え『ソフィミア公爵家』は元々『魔導帝国オルテアガ』の貴族だ。
そこを突かれてどちらかの国に取り込まれる前に『神聖イルティア自治国』へ彼女を取り込む事ができたのは僥倖だった。
特に『オルテアガ自治国』の王子であるディートリヒがアリアに興味を持っていたので、早々に出し抜くことが出来てよかったと思う。
・・まあ、ディートリヒも学園に留学している状態だから、これからも注意しなければならない人物ではあるが。
ただ、アリアと私は『騎士科』で奴は『政治学科』。
関わり合う機会もそうないだろう。
いずれにしても二人きりで出くわさないように注意は必要だが。
もう一つの問題は、両親である『神聖イルティア自治国』王家の見解だが、それについては問題ない。
父上と母上は一目見た瞬間からアリアの事を気に入ったようだし、マリアンネはすでに彼女の事を義理の姉のように慕っている。
あとはアリア本人の気持ちだが、これは私が根気よく付き合っていくしかない。
ひとます、アリアには私の信頼している優秀な侍女を付けて、問題があればすぐ私に報告が来るよう
そして、モニカ嬢は侍女としても優秀だが、学園在学時は『騎士科』で上位の成績を維持していた程の戦闘能力を持っている。
これで、アリアに害意を持つ不届者が現れたときはすぐに対処ができるだろう。
まあ、『邪神』の転生体であり、
それでも彼女の
だから、貴族社会で渦巻く悪意からアリアの事を守らないといけない。
私は兎に角、可能な限りアリアと行動を共にしようと決意した。
・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
そして、アリアの入学から暫く経った。
入学当初は事情が事情だったので、アリアがクラスに馴染めるか心配だったが、ランガース公爵令嬢のエカテリーナ嬢とシノサキ家のユイ嬢と仲良くなっているようだ。
中にはアリアをよく思わない人間もいるようだが、今のところ目立った動きは無さそうだ。
マリアンネは何も言わずとも私の
だから、
これで、王家がアリアを大切にしていることを対外的にアピールできるだろう。
・・・・・・・。
そして、今日は初めての実機講習の日だ。
「じゃあ、男子更衣室はこっちだからここまでだね。着替えた後は駐機場に集合するから、マリアンネ達と一緒に行くといい」
「またあとで会いましょう、アリア様」
実機講習では『
まあ、女子にはエカテリーナ嬢達やマリアンネがいるから問題ないだろう。
そして、私とアーヴィンが着替え終わって駐機場に出てくると、既に着替え終わった女子達がお互いの姿を見てはしゃいでいた。
「・・・・っ!」
はしゃぎ合う女子の中でアリアを見つけた私は思わず瞠目した。
アリアの身を包む『
そこから伸びる手足はすらっとしていて、密着した光沢のある生地がその形を一層際立たせている。
胸の部分には胸当てがついているが、面積が小さいのでアリアの豊かなお椀型の胸が隠しきれていない。
何より、羞恥心で雪のように白い肌を紅く染めながら黒曜石のような瞳を潤ませるアリアに目が釘付けとなった。
「殿下・・控えめに言って見過ぎです」
アーヴィンがジト目をしながら私を注意した。
「っ!?し、仕方ないだろう!アリアのあんな姿を見たら誰だって目が離せなくなるものだ!」
「それよりもアーヴィン!お前はアリアを見るんじゃない!減る!」
「・・殿下」
アーヴィンは私の様子を見てため息を吐いた。
「おお・・」
「ひゅう・・」
そうしている間にクラスの男共が、アリアの『
「うう・・」
アリアは男共の汚れ切った下衆な視線に気づいたのか、更に体を縮めながら目を伏せた。
「っ!!」
そんなアリアを見て居ても立っても居られなくなった私は、すかさず彼女の元へ駆け寄った。
「大丈夫かい?アリア」
私の声を聞いて、アリアが伏せていた目を上げた。
「っ!?」
そして、顔を赤く染めて私を見上げながら揺れるアリアの大きな瞳と目があった瞬間、私は思わず口を手で覆いながら顔をそむけてしまった。
控えめに言って女神だ!
本物の女神である『大母上』には申し訳なかったが、思わず心の中でそう叫んでしまった。
周りの女子が私とアーヴィンを見つけてキャアキャア言っているが、そんなことはどうでもいい。
アリアの瞳には、私の『
それだけが気になった。
それにしても、こんなに魅力的なアリアが他の男共の視界に入るのは許せない。
私は一旦心を落ち着かせると、アリアを見続ける男共を睨みつけた。
すると、流石に一国の王子に睨まれて気まずくなったのか、アリアを見ていた男共がすごすごと立ち去って行った。
「アリア、『
「はあ・・?」
私はアリアにもっと気をつけるように注意をしたが、彼女はあまりピンときていないようだった。
まあ、そんな所も魅力の一つなのだが・・・。
そして、その後教官達がやってきて、アリアが皆の前で『メルティーナ』を
『
だが、アリアは誰にも渡さない。
アリアは私だけのものだ。
私は、目を瞑って『白銀薔薇のバレッタ』に手を添えるアリアを見ながら口角を上げた。
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