荷物検査の結果、全員の荷物にカドを含んだものはなかった。もちろん、あのギザギザオブジェもない。


 従者二名は次に三階に全員を案内した。


 少なくとも今夜はこの館から出られないので、宿泊用の部屋を貸してくれるという。


「部屋割は適当に決めて」


 雛田さんは三階の見取り図を何故か俺に渡し、同フロアの厨房へと引っ込む。


 見取り図には三階の各部屋が書き込まれている。


 円形のフロアを十字に切るように廊下があり、左上の零時と九時方向の廊下に囲まれた空間をAとし、ここから時計回りにそれぞれの空間をB、C、Dと決めた。


 AとBには空き部屋が三つずつ、Cには従者二名の休憩室、Dに厨房と空き部屋一つと二階への階段がある。それぞれの廊下の突き当りには窓がある。トイレはないので、二階か一階のトイレを使用するしかない。


「私! 休憩室がいいな。頼んでみる!」


 真っ先に手を挙げたのは大塚さん。すぐに厨房へ向かっていく。


 それぞれの部屋割りは以下のように決まった。


  A……坊山、駒田

  B……松垣、上野原、虹川


「休憩室、良いよだって!」


 大塚さんがひょっこり厨房から顔を出したところで、全員の就寝場所が決まった。

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