蝸牛
シングルマザーで5歳の娘がいるNさんは、大の虫嫌いだ。
ある日、Nさんはベランダで洗濯物を干している時、ベランダの手すりを大きなカタツムリが這っているのを見つけた。
「ヒィ! 気持ち悪い! 死ね!」
Nさんは躊躇なくカタツムリを手で払い落とした。
カタツムリはマンションの十階から外の駐輪場へと落ちていった。
カシャリと、殻が割れる音が聞こえた。
その日の夜、Nさんの娘が、突然背中が痛いと泣き出した。
Nさんの娘は、背中の皮膚が石灰化して異様に硬くなる病気を罹ってしまった。
病院の勧めで3ヶ月入院させたが、娘の容態は悪くなる一方で、医者も原因が分からないと言って首を捻っている。
娘の背中は猫背の様に丸まって固まってしまい、その上から古い石灰化した皮膚が順に順に重なっていき肥大化している。
とうとう娘は病弱化した筋肉と背中の重さで自力で歩けなくなった。
入院させても一向に良くならないので、Nさんは自宅で娘の面倒を見る事にした。
ある日の夜、Nさんは何かが床をズルズルと引きずる音で目を覚ました。
娘が居ない。
Nさんは部屋の明かりを点けて必死にあちこち探した。
娘は床を這いながらベランダの鍵を開けようとしていた。
「何してるの! 危ないわよ!」
「お母さん、もう死にたいの。前みたいに落として」
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