アラーム

 B子さんは、TSUTAYAで借りたホラー映画のDVDを、深夜に一人で部屋で観ていた。


 割と有名なJホラーで、撮影時に、何度も心霊現象が起こった事でも有名な作品である。


 物語の山場に差し掛かった時、


 ピィーーーー!!


 突然、寝室で目覚まし時計が鳴りだした。


 B子さんはDVDを一時停止して、急いで寝室に行き、時計を止めた。


 (アラームのセットもしていないのに、どうして? 壊れているのかも)


 B子さんは目覚まし時計の電池を抜いて、映画の続きを観ようとリビングに戻った。




 画面が砂嵐になっている。




 B子さんが座っていたソファに、見知らぬ女性が座っている。


 後ろ姿しか見えないが、生気がなく、この世のものではなさそうだ。


 女性は砂嵐の画面を静かに眺めている。


 B子さんは恐怖で動けなくなり、目も逸らせずにいた。


 すると、こちらに気づいたのだろうか、その女性の首だけが、カラクリ人形のように、ゆっくりとB子さんの方を振り向き始めた。


 ゆっくり、ゆっくりと首が回る。


 血の気のない、人形の様な横顔が見えてくる。


 ピィーーーー!!


 電池を抜いたはずの寝室の目覚まし時計が再び鳴った。


 B子さんは気を失った。


 それ以降、B子さんはホラーものは一切観なくなった。

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