蛇足編 《シノビ達のその後》
――シノビは和国の復興のためにムサシノ地方へ赴くと、彼は自分の配下となった白面の暗殺者と共に開拓作業を行う。この時にアルトも協力し、彼はドゴンを特別に貸し出した。
「ドゴォンッ!!」
「その調子だ。その木材はあっちに運んでくれ」
「いや~ドゴン殿は働き者で助かるでござる」
ドゴンはシノビの指示通りに仕事を行い、彼の主な役割は荷物運びだった。ドゴンはテンを上回る怪力を誇り、軽々と自分の身体の何倍もの大きさを誇る大木を引き抜いたり、木材などを運び出してくれる。
このドゴンのお陰で開拓作業は順調に進み、今現在はシノビとクノの故郷である隠れ里を中心に開拓作業を行っていた。この隠れ里を拠点に周囲の木々を伐採し、人が暮らせる地域を広げていく。
「シノビ、本当に解体していいのか?ここはお前達の故郷だろう?」
「構わん……そもそもこんな建物ではいつ倒壊するかも分からん」
「寂しいけど仕方ないでござるな」
隠れ里の建物は残念ながら長年放置されていた事、そして魔物の襲撃を受けた際に殆どの建物が半壊していた事もあり、一度全ての建物を取り壊して新しい建物を作り直す事が決まった。
シノビとクノにとっては思い出深い場所だが、過去の思い出よりも将来のために覚悟を決めて建物を取り壊し、これから暮らす人間のために新しい家を作る。
「ここからはこの場所がお前達の居場所だ。自分達の手で自分達の家を作り出し、そして国を作る」
「国を作る……」
「そんな事が本当にできるのか?」
「今はまだ土台を作る事が精いっぱいだ。だが、いずれは俺達は王国から独立し、新しい国を作り出す時が必ず訪れる」
「それまで頑張るでござるよ!!」
シノビとクノの話を聞いても白面の暗殺者達は戸惑い、まさか自分達だけの国を作り出す日が来るとは思いもしなかった。しかし、自分の手で自分の居場所となる家を作り出す事に関しては彼等も文句は言わず、作業を進める。
「俺達の家、か」
「ふふっ……自分のために働く日が来るとは思いもしなかったな」
「自分の家が持てるなんて夢にも思わなかったぜ」
作業の合間に暗殺者達は自分達の家を作れる事を嬉しく思い、彼等にとって自分の居場所と呼べるような場所は地下深くに存在する組織の隠れ家しか心当たりがない。しかも隠れ家と言っても実際の所は組織が管理している施設であり、そこでは毒草などの栽培が行われていた。
白面の暗殺者が唯一に休める場所が隠れ家だったが、彼等にとってはそこは自分の家というよりもただの休憩場所にしか過ぎない。まだ白面の暗殺者になる前、彼等にも家族は居て安心して休める家もあった。もう家族がいる国へ戻る事はできない彼等だが、それでも自分達の手で自分達の家を作れる日が来た事に感動を覚える。
「よし、俺はでっかい屋敷を作ってやる!!」
「馬鹿野郎、屋敷なんて作っても一人で管理できるわけないだろうが」
「馬鹿はお前だ!!屋敷を持っていれば女にも自慢できるだろう?そうすればすぐに結婚して子供も産ませられる!!俺、大家族を作るのが夢だったんだよ!!」
「な、なるほどな……大家族か、そいつは大層な夢だな」
「家族か……そうだな、家族を作るのは良い夢だな」
実の家族には会えずとも、この新しい地で自分達の家族を作れる事に気付いた白面の暗殺者達は俄然やる気を引き起こす。その様子を見てシノビは彼等を連れてきた事が正しかったと判断するが、その隣に立つクノは兄に対して軽口を叩く。
「兄上も早く家族を作らないと駄目でござるよ。拙者達の代でシノビ一族を終わらせるわけにはいかないでござる」
「……やかましい」
「まあ、リノ王女なら何時までも待ってくれると思うでござるが、それでも待たせっぱなしだと王女も心変わりするかも……あいてっ!?」
「黙れ!!」
妹の言葉に流石のシノビも怒りの拳骨を叩き込み、彼女は痛そうに頭を抑えつける――
※ボツ案
シノビ「黙れ!!」(# ゚Д゚)つ ← 殴りつける
クノ「変わり身の術!!」( ・`д・´) ← 丸太と自分を入れ替わる
シノビ「ぐああっ!?」(´;ω;`) ← 丸太を殴りつけて怪我をする
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