最終章 《ドゴンの改造計画》

「ふ、ふふ、ふふふ、ふはははっ!!」

「どうしたんですかアルト王子、遂に気でも狂いましたか」

「何だい、遂にって……違う、そうじゃないんだ。これを見てくれ!!」



飛行船の医療室に訪れたアルトはイリアに羊皮紙を渡すと、彼女は胡散臭げな表情を浮かべて中身を確認する。彼女は中身を確認して記されている内容を確認すると、驚いた表情を浮かべた。



「アルト王子、まさかこれは……」

「そうだ、僕のドゴンを更に進化させる設計図だ!!昨日から徹夜で書いてたんだ!!」

「暇人なんですか?」

「失礼な!!これも大事な事なんだよ!!」



昨日から徹夜して描き上げたという設計図をアルトはイリアに見せつけると、彼女は呆れながらも設計図の内容を確認する。この設計図通りにドゴンを改造した場合、確かにドゴンの戦闘力は上昇するが、そのために必要な素材に彼女は眉をしかめた。



「この設計図に書かれている素材、全部集めるとなると相当な時間が掛かりますよ。しかも改造するにしてもこの船には工房が無いんでしょう?」

「大丈夫だ、その辺の事はちゃんと考えてある」

「それに改造するにしても人手が足りませんよ。私は薬作りに忙しいですし、乗り合わせているハマーンさんのお弟子さんたちは船の修理に忙しいんでしょう?」

「そこも大丈夫だ。ヒイロとミイナにも手伝ってもらう。ついでに手を空いている聖女騎士団の人達もね」

「王子だからって何でも許されると思わない方がいいですよ」

「安心してくれ、皆には土下座して頼み込んできた」

「いや、王子としての誇りはないんですか!!」



アルトの言葉に珍しくイリアが突っ込みを入れるが、他人に何と言われようとアルトは自分の考えついた設計図の通りにドゴンを改造する事を誓う。



「何と言われようと僕はドゴンを最強のゴーレムに改造する!!もう誰にも負けない無敵の人造ゴーレムを作り出すんだ!!」

「そうですか、頑張ってください」

「というわけでイリア!!君も協力してくれ!!」

「嫌ですよ、こっちはロラン大将軍に朝までに全員分の薬を作るように急かされてるんですよ!?」

「そこを何とか頼む!!この通りだ!!」

「ちょっと、止めてください!!家臣に土下座する王族が何処にいるですか!!」

「ここにいるとも!!」

「開き直るなっ!!こんな所をロラン大将軍に見られたら私が叱られるんですよ!?」



設計図通りに改造を行うにはアルトはイリアの力が必要不可欠だと判断し、彼女に必死に頼み込む。しかもイリアにとって都合が悪い事に薬の素材の調達を頼んでいたモモとヒナが戻ってきた。



「イリアちゃ〜ん、薬草を持って来た……えっ!?」

「モモ、どうした……アルト王子!?何をしてるんですか!?」

「ちょっと!!誤解されちゃうでしょうが!!早く立ってください!!」

「頼む、お願いだ!!僕には君が必要なんだ、頼むから君の力を貸してくれ!!」



イリアに縋りついて頼み込むアルトの姿にモモとヒナは呆気に取られ、そんな彼女達に誤解される前にイリアはアルトを無理やり立たせる。



「ああ、もう……分かりましたよ!!手伝えばいいんでしょうが!!」

「ありがとう、信じてたよ!!」

「な、何事!?」

「さ、さあ……でも、二人ともこんなに仲が良かったんだね〜」

「そういう問題かしら……」



お互いの手を握り合って喜ぶアルトと疲れた表情を浮かべるイリアを見て、モモは二人が仲が良いと思い込み、ヒナは不思議に思う――






――その後、アルトは土下座してかき集めた人員を利用してドゴンの本格的な改造計画を実行した。この計画にはヒイロやミイナだけではなく、ヒナやモモも付き合わされる事になるとはこの時点では二人とも夢には思わなかった。





※おまけ


カタナヅキ「アルト王子の世話は大変そうだな……」

アルト「何を言っている、君も手伝うんだ!!」

カタナヅキ「え、嘘っ!?」


サア、クルンダ(# ゚Д゚)人(; ・`д・´)ハ、ハナセ!!


※アルト王子に仕事を手伝わされて今回は短めになりました。申し訳ございません……流石に短いので今日は多めに投稿します。

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