異伝 《グマグ火山最終決戦》

「猛虎騎士団はルナの援護、黒狼騎士団はゴウカの援護、銀狼騎士団と白狼騎士団はナイの援護に当たれ!!」

『了解!!』



ルナの元にはロランが率いる王国最強の猛虎騎士団が駆けつけ、ゴウカの元には数が一番多い黒狼騎士団が向かい、そしてナイの元には銀狼騎士団と白狼騎士団が向かう。


マグマゴーレムの大群は三手に分かれた事で数が減ったとはいえ、それでも各方向に50体近くのマグマゴーレムが迫っていた。恐らくはこの場に集まったマグマゴーレムがグマグ火山に生息する最後のマグマゴーレムの群れだと思われ、これに勝利すれば作戦は完遂する。



「行くぞ、猛虎騎士団!!若者に後れを取るな!!」

「黒狼騎士団、敵を殲滅せよ!!」

「銀狼騎士団、参ります!!」

『うおおおおおっ!!』



火口から降りてきたマグマゴーレムの大群に目掛けて各騎士団も動き出し、位置的には坂道を駆け下りる形となるマグマゴーレムが有利である。しかし、この場に集まったのは王国最強の精鋭部隊のため、不意打ちでもなければ彼等は後れを取らない。



「僕達も行こう!!僕はナイ君の護衛に行くよ!!」

「では僕は猛虎騎士団の元へ……リーナさん、ご武運を!!」

「うん、フィル君も気を付けてね!!」



冒険者であるリーナはナイの元へ駆けつけ、フィルは猛虎騎士団と共に向かう。こうして各騎士団とマグマゴーレムの大群の戦闘が開始され、逃げていたナイ達も反転して戦闘に参加した。



「よし、逃げるのはここまでだ!!うりゃりゃりゃっ!!」

「でりゃあああっ!!」

『ふはははっ!!行くぞぉおおおっ!!』



ルナは両手に戦斧を手にして立ち向かい、ナイも退魔刀を手にしてマグマゴーレムの大群と向き合い、ゴウカはここで兜を身に着けて完全装備で迎え撃つ。


他の騎士団と合流したナイ達は迫りくるマグマゴーレムの大群と向き合い、遂に最後の戦闘が開始された――






――同時刻、飛行船ではハマーンが工房の扉を開くと、彼は疲れ切った表情で倒れる。そんな彼の元にガオウは駆けつけ、ハマーンの身体を抱き上げた。



「爺さん!!おい、生きてるか!?」

「はあっ、はあっ……」

「くそっ、起きろ!!目を覚ませっ!!」



ハマーンはガオウに抱き起されると、顔色を悪くしながらも彼に視線を向け、ゆっくりと部屋の中を指差す。その行為の意図に気付いたガオウは工房に視線を向けると、そこには思いもよらぬ光景が映し出されていた。



「な、何だこりゃ……どうなってるんだ?」

「これで、満足じゃ……」

「爺さん、おい爺さん!?」



工房の机の上に置かれたを見てガオウは動揺を隠せず、そんな彼にハマーンは笑みを浮かべると、意識を失ったのか動かなくなる。


慌ててガオウはハマーンの心臓の鼓動を確かめ、まだ生きている事を確認すると安堵した。しかし、危険な状態である事は間違いなく、彼はすぐにイリアの元へ運び込もうとした。



「待ってろよ、爺さん。まだ死ぬなよ……」

「…………」



ハマーンを背負ったガオウはイリアの元へ急ごうとした時、ここで飛行船が激しく揺れ動いた。慌ててガオウは体勢を持ち直し、ハマーンを落とさないように気を付ける。



「な、なんだ!?何が起きた!?」



船内に激しい揺れが広がり、ガオウは戸惑いながらもハマーンを落とさないように気を付ける。また襲撃で設けたのかと思ったがどうにも様子がおかしく、彼は不思議に思いながらもハマーンを医療室に向かう。


移動の際中にガオウは窓から外を覗き込むが、特に敵の姿は見当たらない。マグマゴーレムどころか他の魔物が襲ってきた様子もなく、それに先ほどの揺れの感じから船内で何か起きたような気がした。



(いったい何が起きてやがる……くそっ!!)



ハマーンを連れてガオウは医療室へ急ぎ、船内の異変を調べるのは後回しにして彼は一刻も早くイリアの元へ向かう――




※これからは1日に2〜3話投稿します

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