異伝 《魔導戦の新型兵器》
「ははっ、何だか楽しくなってきたね!!」
「新しい荷車が届きました!!」
「投石機も持って来たぞ!!」
「バンバン撃ってくださいね〜いくらでもありますから」
「ていっ、ていっ」
『ゴアアアアッ!?』
二台目の投石機が到着し、小樽型爆弾を載せた新しい荷車が到着すると、飛行船の左右から小樽型爆弾を打ち込む。接近してきたマグマゴーレム達は小樽型爆弾を受けて弾け跳び、中には体内の核を刺激されて誘爆する個体も居た。
「ゴオオッ!?」
「ゴアッ!?」
「ゴオオッ……!!」
仲間達が次々とやられてもマグマゴーレムは進行を止めず、数を減らしながらも徐々に包囲網を狭めていく。その様子を見て投石機だけでは対処できないと判断したイリアは次の兵器を用意させる。
「流石に数が多いですね。仕方ありません、あれを使いましょう」
「あれ?まだ何かあるのかい?」
「ええ、どうやら持ってきてくれたようですね」
「イリア魔導士!!言われた物を持ってきました!!」
イリアの言葉を聞いてテンはまだ何かあるのかと不思議に思うと、騎士達が船内から駆けつけて大量の矢を運び込む。彼等が持って来た矢は普通の矢ではなく、通常の矢と違う点は鏃の部分が赤色の魔石だった。
こちらの矢もイリアが作り出した代物であり、ハマーンに協力して貰って火属性の魔石を削り取って鏃へと造り替えてもらった。それらを矢に嵌め込み、甲板に設置されている巨大ボーガンに装填させて打ち込む。
「よし、今度はこれで狙いますよ」
「おお、遂にそいつの出番かい!!退きな、あたしが撃ってやる!!」
「いいですけど、しっかりと当ててくださいね。数はそんなにないんですから……」
「任せな、こういうのは得意なんだよ!!」
テンはボーガンに矢を装填すると、狙いを定めて船に迫るマグマゴーレムを狙う。彼女が狙いを付けたのは他のマグマゴーレムよりも一回り程大きい個体を狙い撃ちし、矢を放つ。
「喰らいなっ!!」
「ゴオオッ!?」
ボーガンから矢が発射された瞬間、凄まじい勢いで矢が標的に的中した。この時にマグマゴーレムの溶岩の肉体に火属性の魔石の鏃が触れた瞬間、その高熱に反応して爆発を引き起こす。
あまりの威力のマグマゴーレムは悲鳴を上げる暇もなく吹き飛び、更に吹き飛んだ拍子に出現したマグマゴーレムの核が発熱し、爆発を引き起こす。しかもその爆発が他のマグマゴーレムを巻き込み、連鎖的に次々とマグマゴーレムは爆発していく。
『ゴアアアアッ!?』
「うわっ……な、何だいこれは!?」
「ふふふ、私が計算して作り出した特別な矢です。威力は保証しますよ」
「何てもんを作り出したんだい……」
「でも、凄い勢いで減っていくぞ!!」
ルナの言う通りにイリアの作り出した矢のお陰でマグマゴーレムは次々と吹き飛び、大分数を減らす事ができた。残りのマグマゴーレムは10体程度まで減り、これだけの数ならばもう兵器に頼らずとも対処できた。
「あ、今のでもう小樽型爆弾も矢を撃ち尽くしましたね……」
「十分だよ!!よし、後は下に下りて残った奴等をぶっ壊すだけだね!!」
「いったい何の騒ぎだ!!」
「うおっ!?何だ、この状況!?」
ようやく船内からロランが率いる王国騎士達と冒険者が訪れ、外の光景を見て唖然としたが、そんな彼等にテンは堂々と言い放つ。
「たくっ、やっと来たのかい!!情けない男衆だね!!あんたらが呑気に眠っている間にこっちはもう敵を倒してるんだよ!!」
「な、何だこりゃ!?どうしてマグマゴーレムがこんな所に……」
「奴等がここまで来たというのか……」
遅れて駆けつけてきた者達も事態を把握すると、彼等はマグマゴーレムが火山から落ちてこんな場所まで降りてきた事を理解する。しかし、既にテン達の活躍でマグマゴーレムの9割近くが既に倒されたと知ると驚愕したが同時に安堵した。
しかし、ここで地上のマグマゴーレム達に異変が起きた。生き残ったマグマゴーレム達が破壊されたマグマゴーレムの残骸を拾い上げ、その中から破壊を免れたマグマゴーレムの核を取り出す。
「アガァッ……」
「ゴアッ……」
「ウグゥッ……」
マグマゴーレム達は倒された仲間の核を取り出し、それを口の中に放り込む。その瞬間、マグマゴーレムは膨大な火属性の魔力を取り込み、全身に火炎を纏う。
『ゴォオオオッ!!』
「お、おい!!様子がおかしいぞ!?」
「な、何だあれは!?」
「嫌な予感がする……」
地上のマグマゴーレムの異変に気付いた甲板の騎士達は急いで戦闘準備を行うが、その間にもマグマゴーレム達は仲間の核を喰らっては姿形を変化させていく。
最終的には生き残った10体のマグマゴーレムは全長が4メートルを超え、全身に炎を纏った状態で咆哮を放つ。膨大な火属性の魔力を取り込んだマグマゴーレム達は飛行船に向けて再接近する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます